スプラトゥーンの話だ。
最近、赤ZAPを使って塗り返しとミサイルを撃つことを主にしてギア開けをしている。いわゆるマルミサマンというやつだ。
このマルミサマン、実に嫌われている。検索すれば一目瞭然である。
過去にろくにキルが取れない死んでばかりのマルミサ装備を有名実況者が晒し上げ、多くの人に共感を得ながらも謝罪をするなんて珍事が発生するほどに嫌われている。
私はマルミサマンを好きではないし実際苦手だし、やられていい顔をするのは難しい。
でも、マルミサマンに対してマルミサマンをやめろというのも馬鹿らしい話だと思う。
私が見てきたなかでは、昨今のゲーマーは勝ちたがりに見える。
とにかく勝ちたい。強くなりたい。実力でマウントを取りたい。そういう志をもって対人戦が主軸のゲームをプレイしているようだ。
最近はいろんなゲームがe-sportsともてはやされ、殊更に「強い者が正義」「ガチプレイヤーこそ至高」という風潮を生み出している。
ただ、これはゲームの楽しみ方の一側面でしかない。他にもゲームの楽しみ方はたくさんあるはずである。
カジュアルに嗜む程度、娯楽としてゲームをするなら根を詰める必要などどこにもない。
昔、私はガチマッチでA帯に入るのを目標としていた。その頃の私はスプラトゥーンを学ぶことに真剣だった。
試合をする時はX帯のプレイヤーが寄稿した記事を開いて予習をする。自信のある、かつ一般的に強武器と言われる武器を担ぐ(当時はシマネを担いでいた)。立ち回りを意識して、敵を倒し、積極的にルール関与もする。
だが勝てなかった。特にヤグラとホコはいくらやってもA帯に乗ることができなかった。
ゲージはギリギリで割れ、その度に絶望し、暴言は止まらない。ドライアイで目から涙が止まらなくなるほど続け、気がつけばルールの切り替わりいっぱいまでプレイするのはザラだった。
当時は同程度のウデマエであるはずのB帯のプレイヤーを人として見ることができなかった。適切な行動が取れずに崩れて負ける試合を繰り返し、敵も仲間も人間ではないと思いながらプレイしていた。
そんな人間とも思えない奴等に負けるのは腹がたったし、勝っても嬉しくなれなかった。
三ヶ月ほど苦しんで、ようやく全てのガチマッチでA帯入りを果たした時、私は燃え尽きた。正直言って、つまらないことにこだわっていた。
それから二ヶ月ほど他のゲームを遊んでいたのだが、ふとスプラトゥーンに戻るきっかけを得た。その時のもう私にこだわりはなかった。
赤ZAPを握って陣地を塗り返し、マルミサを流すのを繰り返す。
ZAPは操作感がよく、マルミサは単純に使いやすかった。馬鹿なことにこだわっていたことにようやく気がついたのだ。
気がついたらヤグラのウデマエが上がっていた。武器の相性もあるのだろうが、楽しくギア開けをしてるだけであっさり上がってしまったから、びっくりしてしまった。
ランクを気にせずに戦うエンジョイ勢と化した私は、参加型のライブに飛び込んだり、ギア開けのために一人でガチマッチに潜るのを楽しく続けている。