2022-06-01

景気予測は「勘と経験

景気予測が「勘と経験」だと書いた某エコノミストに対して、一部のマクロ経済学者たちが瞬間沸騰してブチ切れてたけど、反論レベルが低いと思うな。

たとえば以下のツイートから始まる景気予測ツール説明だけど、この手法で今後2年間の景気を予測してみてほしい。多分使い物にならないよ。



景気予測というのは、経営戦略投資戦略意思決定サポートするための材料提供することが重要なんだ。

から、「このモデルだとこういう結果になります」では役に立たないし、意思決定において重要な要素は短期的な「ショック」であることが多いかモデルの解として描写されないことが多いんだよね。

エコノミストマクロモデルを使った予測値やシミュレーションくらいは大抵作ってるよ。でも、それだけでは役に立たないことを理解してるからいか現実に近づけていくかで苦労しているんだ。

一般的識別やすいショック(円安資源価格上昇、利上げ)だったらモデル分析はできるけど、たとえば中国ロックダウンの影響をどう考えるかな?

産業連関表を使えば良い?うんうん、気持ちはわかるよ。でも産業連関表と時系列モデルマクロモデル統合するのは簡単じゃないし、国際的産業連関表はたまーにしか更新されないね

モデルが役に立たない理由は大体想像できると思うけど、統計モデル等を用いて行う予測は、過去構造を前提として未来予測することしかできないんだよね。

でも、経済は変化し続けるし、特にコロナ前後の変化は大きすぎるから過去関係性をもとに予測を作ると、足元の経済動向がそもそもうまく描写できない。

この状態で足元で起こっていることが構造変化なのか、景気循環なのかを識別しながら景気予測を作っていくのがエコノミスト仕事なんだね。

そのためには統計モデル変数として採用しにくい細かい経済統計の中身やビッグデータ質的変数なんかも加味して予測を作る必要がある。

それを大雑把に言うと、「勘と経験」という言葉なっちゃった部分があるんじゃないかな。

もちろん、これをすべて統計的に織り込んだモデルが作れるならば理想的だよね。

政策当局を中心にこうした取り組みを進めているのは知ってるよ。でも実用的な景気予測をそれだけで行うことが出来るレベルには達してないよね。

もし出来るというのならば早く「論文」で発表してほしいな。参考にするよ。

不思議なことに、日本ではマクロ経済学者がいわゆる職業エコノミスト馬鹿にすることが今回の事例のように一般的に行われているのよね。

でも実際にはやってることが違うことが多いから、下手に口出しするべきじゃないと思うよ。

逆に、月次や四半期で出てくる経済統計について、マクロ経済学者がとんちんかんコメントをしていることも少なくないよ。仕方ないと思うよ、普段見てないんだから

から、もともと論文を書くことを仕事にしていない職業エコノミスト論文を書かないことを馬鹿にするべきじゃないよ。

こんなことはある程度理解はされていて、「勘と経験」という言葉が癪に障ったので瞬間沸騰してツイートしたのだろうとは思うよ。

でも実際にモデルが織り込めない経済環境予測に活かしていくためには、ある程度の経験必要になる局面も多いのは分かってもらえるんじゃないかな。

あと、異様に「勘」が鋭いエコノミストもいるよね。トップエコノミストは他の人が見つけていない重要な要素を見つけ出すセンスがずば抜けてる。これは「勘」としか表現できないと思うな。


ま、そんなに考えずにドタ勘だけで予測してるエコノミストもいるのは事実だし、元記事の人がどういう作業をしていたかはわからないけどね。

  • 景気予測のツールとして、勘と経験は時系列分析やマクロモデルよりも優れているというお考えなので? 仮に優れているとして、それは、方法論として? それとも、予測精度で?

    • いうて機械学習のAIだって要は勘と経験なわけやろ

      • 機械学習のAIだって要は勘と経験なわけやろ 「勘と経験の要素が排除できない」のと「要は勘と経験」なのとはまったく違う。

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