2022-05-31

ここ数日の間に読んだBL

コントラスト』(itz)




あらすじ

 翔太(かなた)はいつも友達の輪の真ん中にいる陽キャで、陽(あきら)は特進クラス所属する秀才単独行動を好む陰キャである。彼らは同じ高校に通う同学年だということしか共通点がないが、なぜかすれ違いざまによく目が合う。

 そんな二人はある日の昼休み屋上に続く階段踊場出会った。いつもそこで一人で過ごす陽の隣は何故か居心地がよく、翔太は昼休みごとに入り浸るようになる。

 翔太が急に行方くらますようになったことに彼の友人達不審に思いはじめる。一方で、陽は翔太には言えない秘密を抱えていて……。

増田感想

 こういう少女漫画系学園恋愛物語を読むことは、自分は一生ないんでないかと思ったのだが、そう思いつつも今年に入ってから『君の膵臓を食べたい』とか『コクリコ坂から』とか読んどるやんけ、ならBLでも読めない訳がない!  と急に気分が変わったので読んでみた。なお、本作は全くエロがない。

 登場人物の喋りがYouTubeとかで見る今時の若者のものだが、日常の過ごし方が二十数年前の学生とあまり変わってない感じなのが驚き。今時の高校生も放課後カラオケなんて行ったりするの……私の住んでる辺りのカラオケボックスなんか、疫病とか関係なく軒並み潰れましたが……。

 屋上への出入口に続く階段踊場で二人が出会うなどという、いっけなーい! 遅刻遅刻! とパンくわえて走ってたら曲がり角でイケメンと側面衝突したくらいの伝説ベタからスタートで、そこからベタが幾重にも畳みかけて来るのだが、こうもベタを貫いていると一周回って目新しく感じた。まあ、ベタな展開の漫画って実例を挙げよと言われると案外出てこない、まぼろしだったりするからなあ。でもはい、「屋上への出入口に続く階段踊場で二人が出会う」作品こちらでございます。もしも、そんな作品本当にあるの? と誰かが言ったら『コントラスト』とこれからは自信を持って答えられる。

 約300ページの長編なんだけど、背景の描き込みが少ないのと、ストーリーや設定がベタベタなのとで、余計なことに目が行ったり考え込んだりさせられないので、さくさくと読み進められるし、登場人物心理描写に集中できる。

 主人公二人のキャラ定番ながらも厚みがあってよかった。陽の方はちょっと詰め込み過ぎではないかとも思ったけど。主人公二人ともそれぞれ複雑な思いを抱えていて、それで互いや周囲の人達齟齬を生んだりもするけど、思いやりで人間関係が回転していて、なんとも優しい世界観。あまり棘がないのが今時って感じかなあ。


『ボーイミーツマリア』(PEYO)




あらすじ

 広沢大河高校入学と同時に演劇部への入部を決めた。彼の夢はヒーローになることで、日本一ビッグ俳優を目指しているのだ。

 そして演劇部の催物を見学に行った大河は、舞台上で踊っていた美少女マリア様」に一目惚れをしてしまう。

 勢いでマリア様に告白したもののあっさり断られた大河。彼はめげずに入部を志望し演劇部の門戸を叩く。ところがそこへ現れたマリア様は男子制服を着ていて……。

増田感想

 またもエロの無い学園ものファンシーな表紙とは違い、中身はどえらくパワフルな少年漫画系。あまりにも勢いがすごくて唖然としてしまった。情熱が爆発している! なんだこれ……こんなBLたことがない……。あとなんか演劇部顧問がすごくパニー(どうぶつの森シリーズの)じゃん……。

 若さとパワー漲ってるなぁ、と思ったら出版当時、作者はやはり二十歳少し手前くらいだったのだそうで、さもありなん。画力といい構成力といいとんでもない逸材だなあ、ストーリーはだいぶ荒いけど。すごい、将来に期待……と思ったら、PEYO先生こと江口公生先生23歳の若さ夭折されたとのこと。悲しい。

しゅんとした気分で今日はここまで。『きのう何食べた?』3巻も買ったから読んで昼寝でもしよ。

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