2022-05-19

もかちの部屋

知らない部屋で目が覚めた。

どこかの家のようだったので玄関を探したが見つからなかった。

家主と思われる老婆が家の外で柵を壊していた。

男性はそれを横目に新聞を読んでいた。

おかっぱ頭の若い男も家の外で柵を壊していた。

玄関ホールと思しき場所は何故か鏡の壁で塞がれていた。

その鏡が人一人入れる程度に割れており、そこから出られるのでは、と覗き込んだ時だった。

「どこ行くのもかち」

老婆と男性たちが満面の笑みで私の肩を掴んでいた。

「もかちもかちもかちもかちもかちもかちもかち」

目が覚めた。

身動きが取れない。

見回すと自分の右に誰かがいる。

光のない目で正面の壁をじっと眺めている。

彼がもかちなのか自分がもかちなのかもう分からない。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん