2022-05-04

スガキヤラーメンの思い出

あれは俺がまだ小学生の頃だから1980年代だと思う。埼玉県南部とある国鉄高崎線駅前に、大きなショッピングモールが完成した。

それ以前から駅前には「西友」とか「キンカ堂」といった「スーパー以上デパート未満」な存在があったが、駅の反対側の再開発で生まれたそのショッピングモールは、より大きく都会的で垢抜けた商業施設だった。

小学生だった俺は親にもらった小遣いを握りしめ、悪友と一緒に胸を高鳴らせ瞳を輝かせ新装開店ショッピングモール突撃した。

西友キンカ堂よりもはるか現代的で清潔感あふれる店内に俺たちクソガキは驚嘆した。新しい時代感性がどんどん押し寄せてくる、バブル崩壊以前の日本猪突猛進空気を全身で感じた。

店内をあちこち見物した後、俺たちはフードコートへ行った。そして俺はこの時こそ親にもらった小遣いを使うべきだと判断し、フードコートラーメンを食うことにしたのだ。

一体どんなラーメンが食えるのか?このような進歩的未来的な施設で供されるラーメンは、来るべき21世紀未来社会を感じさせるようなすごいラーメンに違いない!と期待に胸は高まった。そのフードコートラーメンを出しているのはスガキヤであった。

果たして提供された「ラーメン」は、見た目からして異様なものであった。スープは何故か白濁しており、また見たことの無い奇妙なスプーンが添えられていた。関東地方で単に「ラーメン」といった場合は、醤油ラーメンを指す。これは今も昔も変わらない。2022年ともなった現在では、関東地方住民の間でも全国各地にざまざまな種類のラーメンがあることは知られている。しかし当時1980年代において、このスガキヤラーメン関東地方に住む小学生の私には全く「ラーメン」とは呼び得ない得体の知れない代物であった。

買ったからには食べなければ勿体ない。勇気を出して一口食してみた。

何だこれは?

不味くはないが、美味しくもない。それ以上に、これは「ラーメン」ではない!

せっかくお金を払って「ラーメン」を注文したのに、ラーメンではない何かを食わされるなんて…俺はただただ悲しかった。

その後スガキヤ撤退し、フードコート普通醤油ラーメンを出すようになった。

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