2022-04-21

わたし推しは、誰かにとって死ぬほど邪魔存在

去年、急にスポーツ観戦にハマった。

それもプロ野球

元々地元にあった球団の、ある選手きっかけだった。テレビがつまらなすぎてたまたま流していた野球中継で、彼は人一倍大きな声でチームを鼓舞していた。その懸命な姿に惹かれた。

よく見れば顔もタイプだった。

元々長い間色々なジャンルオタクをしていたため、その後は転がり落ちるようにハマっていった。

球団SNSYouTubeなどを駆使して、ほぼ毎日情報発信をしている。バラエティ番組顔負けの企画や、アイドル雑誌にあるようなオフショットなんかもある。試合がない日も決して飽きさせない工夫がなされている。強欲なオタクに優しい。

たまたま中継を見たあの日から数ヶ月後には、すっかり野球ファンになっていた。

ちょうどこの頃、職場の仲の良い同僚(同じくオタク気質)も野球沼に引きずり込まれていた。彼女地元球団応援していたが、推し選手は別だった。しかし、互いの推し同士が仲が良く絡みが多いため、ツーショットSNSに上がるたびふたりで盛り上がった。毎日の会話は野球一色になった。

充実した日々だった。クソみたいな職場で死んだように仕事をしていた毎日が、野球のおかげで一変した。平日も、夜中継があると考えるだけで乗り越えられた。推しプレーする姿を見るだけで、柄にもなく明日も頑張ろうだなんて思えた。

そして、待ちに待った今年の公式戦が始まった。

去年の推し一年を通して比較的安定した成績を残し、不動のスタメンとして活躍していた。今年も当然そうだと疑わなかった。

ところが今年のシーズンはなかなか成績が振るわなかった。まだ始まって間もないといえばそれまでだが、ファンとしては気が気でない。本人はいつも通り元気にプレーをしているのがまだ救いだった。推し打席に立つたび、テレビの前で祈るのが習慣になった。

そんな中で、推し怪我をした。幸いにも長期離脱は避けられたが、連続スタメン出場の記録は止まってしまった。自分のことよりショックだった。その日の試合中継は見なかった。

怪我の度合いが公式アナウンスされなかったため、SNS情報をかき集めた。

推し名前検索すると、怪我に驚く声に混じって「スタメン落ちは当然」という意見が多く見られた。

成績が悪いのに使い続けるなんて無駄怪我理由スタメンから外すことができてよかった、高い年俸もらってるくせに役に立たない…

推し非難するツイートがずらりと並んでいた。

プロ世界である以上、成績を残さなければ生き残ることはできない。かなり落ち込んだが、正直何も言い返せないな、と思った。

ふと、そのツイートを繰り返していた人のアカウントを覗いてみた。同じ球団の違う選手(Aとする)のファンらしい。フォロワー500人以上のアカウントだった。

A選手も、開幕から不調が続いているひとりだった。試合に負けると球団公式SNSアカウントに対してA選手非難するコメントが寄せられていたこともあった。

その人はA選手非難するツイート晒し上げ、「Aがスタメン落ちるなんてありえない」「Aがいないチームなんて勝てるはずがない」と何度も発言していた。

推し非難するアカウントをもうひとり覗いてみた。その人は、わたし推しと同じポジションである選手(Bとする)のファンだった。

推しスタメンを外れた日、代わりにスタメンとして出場していたのがB選手だった。

推し怪我したことをとても喜んでいた。これでやっとBがスタメンに復帰できたと。「推しさえいなければBがずっとスタメンだったのに」と恨み節を並べていた。

わたし普段公式アカウントや、推しファンで現地の写真をアップしてくれるアカウントくらいしか見ていない。

そもそも自分アカウントすら持っていない。

職場の同僚以外のファンと関わったことがなかった。

今回初めて色々なファン意見に触れて、自分の中で思ったことまとめてみた。

自分推しは、誰かにとって死ぬほど邪魔存在であるかもしれない。

②逆もしかり。自分が一切興味のない人も、誰かの人生を支える大切な人であるかもしれない。

②基本みんな推しのことしか考えていない。贔屓目とかのレベルじゃないダブルスタンダードを平気で言う。

それをいちいち真剣に受け止めていたらメンタル崩壊する。



推しが好きだという気持ちは須らく尊いと思う。

その人の推し方に、他人が口出していいはずがない。

でも、推しを好きなあまり評価してほしいあまり、誰かを引き合いに出したり、比べたりするのはよくない。

それは、他の誰かのかけがえのない存在かもしれないから。

わたしはこの人が好き。あなたはこの人が好き。

それでいいじゃない。




あともうひとつ、今更気づいたことがある。

野球というスポーツ球団も実はまったく興味がなかった。別に野球ファンになったわけじゃなくて、ただ推し野球選手なだけだった。

推しが出てない試合の中継は一切関心ないし、チームが勝とうが負けようがどうでもいい。

来月ついに現地観戦のチケット取ったけど、推しスタメンじゃなかったら普通に行かない。

推し引退したら野球なんてきっと一生見ない。

そういえば、わたし元々オリンピックすら見たことなかった。普通にスポーツ嫌いだったもんな。




でもわたし推しが好き。ひたむきに頑張る推しが大好きだ。

誰が何と言おうと、ずっと。

それでいいじゃない。

わたし人生は、いまそれで救われている。

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