2022-04-06

バイト日記

 勤務中、いつの間にかオーナー事務所で誰かと話していたから、面接かなと思ったらいつだったか産休を取るとかでいなくなったSさんだった。復帰するらしい。うぇぇ。Sさんは私にとっては今の当店の従業員の中で最も組んで仕事をしたくない人なのだ

 何でSさんが嫌なのかというと、彼女シンプルに物凄く口が悪いのだがその自覚がなく、見た目もまさか秒で人をイラッとさせる天才とは思えないほどのおっとり系なのだ。なんと言ったらいいのか……皮肉って感じもなしにするすると暴言が口から出てくる感じ。言われた方は思わず耳を疑ってしまう。

 オーナーSさんと話している間、私は一人で店番をしていた。そしたら事務所のドアが開いて、制服姿のSさんが出て来たから驚きだ。Sさんは昼勤なのだが、復帰を機に夕勤にシフトを変えたのか、単に慣らしで「暇そうな時間」(平日の夕勤、暇じゃありません)に今日だけ入ったのかは不明だ。

 Sさんに言われて腹が立ったこと……。その1。

「お客さんから、私と同じ年くらいの女の人が夕方にいるって聴いたんですけど、それってたぶん、増田さんのことですよね。他に女いないし。増田さんって本当は一体、何歳なんですか?」

 ある日Sさんからそう聞かれたので、

「38歳(当時)」

 と答えたら、

「えーやだ、すごく失礼……。38歳の癖に私と同じくらいの歳って……うそぉ、私、こんなに老けてるって思われてるの……」

 しかも今にも倒れそうな蒼白な顔で言われた。

 Sさんに言われて腹が立ったことその2。

増田さんのお子さんって今の何歳なんですか?」

「8歳と5歳(当時)」

 という会話からの、

「そんな小さい子を置いて、よくこんな時間に働いていられますね」

 そういうおめえ様の御令嬢は2歳でございましたね。

 Sさんに言われて腹が立ったことその3。

あんまんッッッ!!」

 何の前ふりもなく。私が出勤して事務所のドアを開けたとたんにそれ。私は黙ってあんまん什器から取って包んみ、お客様に「あんまんお一つでよろしかったですか?」と確認してから出した。突然の命令にもイラッとしたが、その後なぜかSさん言い訳をし始めたのにもかなりイラッとした。その言い訳とは、

「私はあんまんを見てと言っただけで、取ってと言いたかったんじゃないんです。増田さんが取ってくれなくてもよかったんです。私、自分でやれるんで」

 ついつい意地悪な気分になったので、

「なるほど。で、『見て』とは!? 何の為にですかな!?!?!?

 と聞き返したら、Sさんはしどろもどろになって「だからぁ、あんまんがまだ残っているかどうかぁ、確認して欲しくてぇ」と言い訳を重ねた。中華まん什器あなたのすぐ真隣りにあるのですがね!

 Sさんに言われて腹が立ったことその4。

 これまた出勤した直後のことだが、制服に着替えた時点で、まだ仕事開始時間まで10分以上。余裕だなと思った瞬間、事務所のドアが荒々しく開いてSさんが現れた。

レジを見てくださいッ!!」

「……なんで?」

レジが壊れたんで見てって言ってるんです。そんな事もわからないんですかッ!?

 いや知らんがな。明らか私のせいじゃないし。

 そんなSさんが復帰してきてしまった。どうか産休という名の一時的雇い止め最中に当店の存在を忘れてどっか他のもっと美味しい仕事を見つけて転職してくれないかなと思ったが戻って来てしまわれた。

 今日は一時間くらいシフトが被ったのだが、私がカフェマシン部品を洗っていると、客足が途切れたタイミングSさんが私のところへとことことやって来きて言った。

増田さんは私を覚えていますか?」

「おぉ、覚えてるよ!」

 悪い意味インパクトが強すぎて。

「本当ですか? うれしー。あーよかったー覚えてくれていてー。あ、そのボールペン、貸してくれたりします? 無いんで」

 Sさんは相変わらずだった。

「いつ以来だっけ、一年、二年?」

 とSさんに言うと、Sさんは、

一年です。子供がやっと一歳になったんで。使えるお金なくて、早く稼ぎたくて居てもたってもいられなくて、戻ってきました」

 神妙な顔でいきなり重い。この人の旦那さんのお給料が三倍くらいに増えて、こいつがコンビニバイトなんかせずに遊んで暮らせるようになりますように……。

 

  • むかしワンオペ夜勤開けで交代する朝のおばさん二人組がこんな感じでバチッてるのはなんとなく感じたけど関わらなくてよかった…

  • いいね 観察日記としてブログに書いてバズろう

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん