これは、平和な森づくりを夢見る赤ずきんが成し遂げた、オオカミ退治のお話。
ある日のこと、赤ずきんはお母さんにこんなことを言われました。
どんな風に気を付けようか、考えはじめました。
犯罪者に多い不審な動きや表情、行動パターンをしている動物がいないか調査。
赤ずきんは犯罪が起きやすい日、狙われやすい場所を解析。事前におばあさんの家に潜伏し、見事オオカミを捕らえることができました。
オオカミを捕らえた功績が評価され、赤ずきんは村長から、森の保安官に任命されました。
気をよくした赤ずきんは、森の治安をもっとよくしようと、さらに防犯システムを発展させました。
やがてそれは外敵の攻撃を予測する防衛システムに発展し、森を傷つける敵を事前に攻撃する予防戦争が多発しました。
赤ずきんは老いつつあった自身の肉体を不死身の鎧に置き換えて、不老不死の肉体と全ての生体を超越する頭脳、そしてすべての「悪兆」を見通す目を手に入れました。
赤ずきんの森は全世界の首都となり、聖域としてあがめられました。
その獣は、オオカミでもクマでもトラでもありません。小さな、1羽の黒い鳥でした。
最初、赤ずきんは黒い鳥を侮っていました。しかし、黒い鳥は向かってくるロボット動物を次々と破壊し、着実に赤ずきんに迫ってきます。
赤ずきんは、黒い鳥に恐怖しながらも、負けるとは思っていませんでした。
生命保存プログラムのAIの精度は、監視システムとは桁違いなのです。
しかし、黒い鳥は、赤ずきんの不死身の肉体と究極の頭脳と目を嘲笑うかのように、あっさりと赤ずきんを殺してみせました。
残された赤ずきんの子供たちは悲しみました。しかしそれでも、時代の流れは止まりません。
赤ずきんの残した巨大な監視システムは、子供たちが引き継ぐことになりました。
黒い鳥は英雄として動物たちに語られましたが、その話をした動物たちを赤ずきんの子供たちは片端から処刑しました。
こうして陽向には語られなくなった黒い鳥の伝説は、やがて信仰のような形で動物たちの中に残り続けました。
「黒い鳥を目で捉えることはできないよ」
子供たちには赤ずきんのお母さんの声が聞こえましたが、聞こえなかったふりをしました。
子供たちは黒い鳥の再来を恐れながらも、忘れたふりをして、世界の統治に励みました。
そしていつしか、最初の「オオカミ」が捕らえられてから、238年もの月日が流れていました――
ARMORED CORE BLOOD AND SOIL
20XX年 発売予定
そして楽園は、土に還る