2022-02-03

SF

人類はとうとうコロナに打ち勝った。

問題解決型の医者ばかりでなく

問題発見型のAIが「コロナウイルスそのものの形に合致するフィルタHEPAを超えたIEPAを備えた空気清浄器」を提示し、

それを産業界が総力をあげてつくってしまったのだ。

冗談みたいだった。

だがそのために人類総資産空気清浄機の維持に特化された。

さもなければ輸出入差し止められて後進国になってしまうのだ。

みな空気清浄機のフィルターを燃やした熱で温室で穀物野菜をつくってそれを食べて生きているようなものだった。

 

長い間かかって人間はそれ以外の生きる道を失ってしまった。

退屈な中で集積回路の集積は進み、あらゆるゲーム攻略しつくされTAS乱数調整発見するマイニングによって開発しつくされてしまった。

もはやゲームとは人工知能の性能を試験する統一規格のものであり、

感情人工知能により人間のものよりもっともらしく再現されるがどんな感情も結果はカラッポなのだから、生身の人間あいだでは唾棄すべきものとなっていた。

 

気づくとコロナウイルスは宿主であった野生動物ごと絶滅してしまっていた。

外の空気はもう清浄だ。

外に出て遊ぶ、をうまれて初めてする人類

古代史によれば、丸い合成皮革に空気パンパンにつめたものボール、というものを蹴ったり投げたりしてあそんでいたらしい。

 

乱数調整がいらない地面というもの勝手に生えてくる草。

なにこれ。

おずおずと人間ボールを蹴り出した。生まれてはじめて肉体の足で蹴ったボールはほんの数メートル先で石にぶつかって横にまがった。

目をキラキラさせたおじいさんたちが、なんで人工知能なんかつかってたんだろうね、おじいさんのおじいさんたちがいっていたスポーツってこれか。と言い合っていた。

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