2022-01-27

創作に対する「ビジネス弊害出てる」とどう向き合うか

プラネテス」における表現、考証が話題になった。

詳しくは調べてもらえればと思うが、クリエーター目線として気になるのは

何らかの創作をする上で「○○をさせたい」「こういうストーリーにしたい」という思いか科学事実無視したとき

専門家有識者から受ける批判をどう打ち返すべきか、もしくは創作に対する「科学事実と異なる」「リアリティーがない」という評論や「評論自身ビジネス弊害をもたらしている」というコメントにどう心構えしておけばいいかだ。

おそらくタイトルだけ読んだ人は「いやそもそも向き合う必要はない」「そんなツッコミをする人間こちからお断りだ! 対象者じゃないんで見なくて結構!」「そんなの自分で考えろバーカ」と言っておけばいいと書き捨てるとは思うが、

創作をする上で専門家有識者に届いてしまうのがコンテンツ、ひいては情報社会の常でもあるので、そこは抜きにして考えてみたい。

初心者向け】 無視する

考えてみたいとは言ったものの、前向きに言い返そうとすると労力がかかる。創作に対する批判古代から行われているはずであり、19世紀以降の○○主義(忘れた)や「テクスト論」のような「作者」と「読者」の関係とか

読書論というような話を持ち込めば、前向きな議論可能だろう。だが、クリエイターはいちいちそんなことで議論する暇はない。その余暇時間創作のための知識を学ぶか、創作に当てたいものだ。そこで無視するという心構えだ。

また専門家有識者創作否定するとき、たいていのケースで専門家有識者はその創作が描くジャンルで飯を食っている可能性が高い。こうした煽りプロレスを仕掛けることで自分たちのビジネス知名度を高めたり、

例えば創作物を否定したりした後で謝罪和解の形に持っていくことで関係性を築き、自分たちのビジネスに引き入れるというような選択肢も取れるだろう。こうした面倒事を回避するなら「無視する」は優秀な選択肢の一つになる。

【中級者向け】「いやこれってウソなんですよ」と答える

とはいえ無視するのはどうだろう?と考える人もいるだろう。少し考えてたが、結局はこの一言に尽きてしまうのではないかと考えられる。創作、とりわけプラネテスのようなSF科学事実演出を織り交ぜたフィクションなのだから

ウソだとか間違ってるとかそういう批判ちょっと知らないなという答え方だ。これは手塚治虫ブラックジャック描写について東大医学生から批判を受けたときに似たようなコメントを残している。

ブラック・ジャック - Wikipedia

本作には、医学リアリティと大胆なフィクション並存しているが、これは医学事実よりも物語性を優先した、手塚の作劇術の一環である。異星人やミイラ幽霊感情自我を持つコンピュータを手術するなどという突飛な設定の話も存在する。架空病気も登場したほか、ブラックジャックピノコ医学的設定も現代医療技術を超越している。ブラックジャックスターシステムで登場する別作品ミッドナイト』では、ブラックジャック本人に人間の脳交換手術について「その様な事は漫画から可能だ」と言わせている。手塚治虫自らが語る所によると、当時東医学部の学生から嘘を書くなと抗議の手紙をもらったとの事である。それに対して手塚は、東大生ともあろうものが、漫画に嘘があることすら知らないのかとコメントしている。

また今回話題になった評論に対してプラネテス原作者も同様にウソですよとコメントしている。まさに模範解答といえるだろう。

(もう少し踏み込んで書こうとすればそもそも創作とは何か」とかプラネテスの件に合わせて考えると「SFとは何か」(19世紀ごろの宗教科学歴史を振り返るところから始まると思われる)のだが、それは大変面倒なので割愛する)

上級者向け】「世の中の9割は弊害になりますよね~w」と答える

初心者向け、中級者向けにもちょっと納得できない人にオススメしたいのが「そもそも世の中の9割は弊害である」という「スタージョンの法則」の応用だ。

スタージョンの法則SF作家が大学先生から「やっぱりSFってクソでしょ?」という疑問をぶつけられたときの返しで「そもそも世の中の9割はクソだ」と答えたものから作られた。

スタージョンの法則 - wikipedia

「最低の作例を引っ張り出しては叩く」という悪意の攻撃に対して、自分から直接反撃しているのだ。90%のSF作品ゴミカス扱いするのと同じ基準を用いれば、映画文学、消費材などその他あらゆるものの90%も同様にゴミである

言葉を変えれば、「SFの90%がカスだ」という主張ないし事実もつ情報量はゼロである。なぜならば、SFは他の芸術技術産物と同様の質的傾向を示しているに過ぎないかである

現代において創作媒体を通じて消費者に届けられる。創作それ自体もこのプロセスも結局はビジネス質的傾向を示しているのに過ぎないのだから創作したものビジネス弊害になっているというが、

そもそも世の中の9割はあなたビジネスにとって弊害でしょ」という正論攻撃し返すのである

さいごに

上級者向けを利用した場合は大変面倒なことになると思うので一般的には初級・中級の心構えでいくべきだとは思うが、出るところは出るべきなので最終手段として上級者向けの考え方を知っておくと良さそうだ。

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