些細な事だが久しぶりに穴があったら入りたい系の失敗をこいて死にたくなった。お客様の前で変な言い間違いをしたとか噛んだとかそんな類いのやつ。思い出しただけで顔から火がでそう……。
女性店員ばかりを理不尽に怒鳴り散らす迷惑客が、最近しょっちゅう来店するんだけど、そいつをDさんが自力で迎え撃ってやるぜ! と鼻息を荒くして待っていたそうなんだが、そんな日に限って迷惑客は来店しなかった。
まさかの単なるノロケ話。Dさん、彼ピに惚れ直した女の顔になっている。
しかし、Aさんが言うには、AさんはDさんから酷いセクハラを繰り返しされているだけで、別に付き合っている訳じゃないのだそう。
前にAさんから、Dさんがしてくるセクハラの数々がどんなものか聞いた事があるが、どれもあまりにも度を超えた吐き気をもよおす邪悪な行いだったので、私は引いた。
だが、そんな事をされてもAさんはそれはそれ・これはこれという精神で問題を切り分けているらしく、Dさんが困っていたら助け船を出すのだ。まあそれはいい行いかもしれないけど、Dさんからはますます惚れ込まれているみたいだが、大丈夫なのか。
あと、Dさんからご飯を食べに行くお誘いを受けると、Aさんは「断る理由がないから」といって着いて行くのだという。一度、居酒屋の個室でド派手にセクハラされて以来警戒はしているとAさんは言うが、私にしてみれば、何故そこまでされても懲りないんだろうなと、不思議なのだけれど……。
21時過ぎに、ケーキが予約出来るか聞きに来たというお客様が来店。12月の半ばの、夜遅くから深夜にかけての時間帯にケーキの予約に来る客は、だいたい酷い、いろいろと。
そこまで聞いた所で「もう予約は締め切りました。」とぶったぎってお帰り願いたかったが、そうもいかないので、仕方なく対応した。
まず「フローズンのフルーツケーキでノンアルコールのやつをどうしても欲しがってる知り合い」なんて架空の存在というか、この人自身なんだろうなって思った。っていうかこの人、前にも見た覚えがある。去年もギリギリになってどうにか予約が出来ないかとゴネた人だよな。一昨年にもきたし、なんなら私が以前勤めていた同系列他店にも来たんじゃないかな。
パンフレットさえないというので、事務所から持ってきて(オーナーが、もうこの時期はほぼ予約は取れないからといって、早々にパンフレットを店頭から下げてしまったのだ)、説明した。
「他店でもお断りされたなら、無理だと思います。ケーキの予約は店舗毎に枠があるのではなく、生産工場のキャパによっ」
「いいから調べてちょうだい!!」
そんな事言ってるから、毎年同じ事を繰り返すんじゃないのかな。