岸田政権の分配政策について、文句を言う人間が多すぎてうんざりしている。
「18歳以下給付金は歓迎・賛成するし、全力で大いにやって頑張ってほしいが、ここが足りないのでもっともっとやってほしい」という批判ならいいと思う。しかし今ある批判は、「根本から全然ダメ、間違っている、やっぱり岸田じゃだめだ」みたいな批判ばかりで、財務省やネオリベ側はもちろんのこと、リベラルや左派の側にも多くいる。「バラマキ」という言葉を使う人も多い。
自民党はその結果どうなるか、と言えば、「やっぱり分配政策は財源調達がめんどくさいし、あちこちから文句がたくさん出てきて政権のイメージも悪化するから、一切やめよう」という以外にない。逆に、歳出を削る政策や経済界の意向に即した政策については、ほとんど文句が出ないし、「頑張っている」と評価される傾向が高い。いまの批判され方を見ていると、自民党がそっちに向きを変えるまで秒読みとしか言いようがない。
安倍晋三は個人としてはネオリベではなかったと思うが、経済界とは決しては喧嘩せず、受動的にしか分配政策は進めなかった。再分配を軽視していたというよりも、財源問題や分配対象の絞り込みなどで分配政策の政治的なリスクが高いことをよく知っていたのだろう。分配政策をすると粗探しで文句ばかり言われるのだったら、容易に自民党を分配政策を放棄するという方向に向かわせる。
宮本太郎先生も言っているように、日本は「磁力としての新自由主義」が強い。ボンヤリしていたら政策が全てネオリベに流れてしまう状況にある。なので、ともかく分配政策をしようという姿勢がある場合は、それ自体は好意的に評価をすべきなのだが、リベラル左派も含めて一つも評価をせずに、とにかく文句ばかり言っている人間ばかり。これまでの日本でなぜ再分配政策が弱いのが本当によくわかった。