報道で事件性もあるとみて調べを進めていると言われる段階ではまだ事案を事件として認識してない。
刑事手続きの流れというフローチャートによれば、事件の発生、捜査の開始、犯人の特定を経て任意取り調べと逮捕へと分岐する。
事件の発生から捜査の開始へと移行するには被害届の届け出や110番通報といったものがきっかけになるようだ。
たとえば自宅で誰かが息を引き取った場合、まさに事件性の有無を調べるために検視にかけられる。報道される場合は事件性もあるとみてと言われるような段階だ。
いうまでもなくこの段階では警察は事案を事件としてはあまり意識してない。
もし意識してるとすれば、自宅で亡くなって適切に通報等手続きがとられるケースにおいてもいちいち同居人の誰かが(一人しかいない場合はそいつが)被疑者であるということを強く念頭に置いて検視を行っていることになる。
病院以外で亡くなるというそれもまた日常茶飯事な事案でいちいちそんな不遜な感情を遺族に抱きながら検視をしているとは考え難い。
また検視は捜査ではないことがわかる。事件性の有無を調べるのが目的の検視も捜査に含まれるとすれば事件の発生という段階を飛び越して捜査の開始の段階に至っていることになるからだ。
検視で事件性が有ると認めれるということこそが被害届や通報と同等な刑事作用を持つものであり、つまりは捜査の開始へと段階が移行するための作用なのである。
しかし通常の事件と比べればこれは流れとしてやや例外的であり、検視において事件性が認められた場合は事件の発生と捜査の開始が同時に起こるイメージか。
たとえば検視が行われる。死後何日も経っていることが判明する。死体遺棄の罪を問える。事件性が有ると認められる。同居人である引きこもりの息子が逮捕されるという流れになる。
しかし死んでいたのが一人親で同居人が乳児とか幼児とか言う場合はまた変わってくる。
まず現場の警察官から見た見た目が子供である。その場合検視で死後何日も経っていることが判明してもまず戸籍から同居人の年齢を照会しようとするだろう。
そして客観的に乳児や幼児であるということが証明されて、事件性無しとなって多分その子供は養護施設とかに送られる。
見た目は子供でもただの童顔の小人症ということがあるかもしれないから公的書類で確かめることは大事なことだ。逆にウィーバー症候群で老け顔という場合年齢的には幼児なのに一時的にでも逮捕され少年法で保護されるべき実名等が公開されてしまう可能性もあるのだから。事実あらゆる容疑者は職業とかは不詳なことがあっても年齢だけは絶対に判明した状態で報道されている。上記のように見た目だけで判断すると思いがけない過ちを犯す可能性があるから最低でも年齢の照会だけは行ってから逮捕することになっているのだろう。
ハイランダー症候群というのもあるらしい。ハイランダー症候群の場合皮膚を境界とする内側がまるごと現実の時の流れから隔絶されたかのようになってしまうのだったか。つまり肉体だけでなく精神も含めてまるごと時が止まったように変質しなくなる。こういう場合はどう扱うものなのかとても稀なので分からないけれど。
個人的には事件性の有無の確定までには障害の有無も確認してもらいたいものだと思う。
たとえば全盲の聾唖者でやまゆり園で殺されたレベルの重度の知的障害も負っているような人がそもそも親の死を認識できる期待可能性は少ない。
たとえ年齢では成人と判断されても最低でも怪しいと感じたならば必ず障害があるか調べるぐらいはしてから逮捕するべきだろう。
というか引きこもりの死体遺棄で「逮捕」する必要はあるのだろうか。飯塚幸三は逮捕されなかった。引きこもっているようなやつは罪証隠滅をしやすいみたいな、漠然とした育ちに対する偏見で逮捕するか否かを決めてるところはありはしないか。