2021-10-18

たぬきの嫁入り

たぬきのたぬ子は嫁に行きたかった。しかしなかなか叶わない。

彼氏のポン吉にその気がないかである

たぬ子はポン吉にわけを聞いた。

「どうしてあたしを嫁にもらってくれんの?」

「そりゃあおめぇ、オラの所に来たら、こき使われるからだぁよ」

「なんでもするよ、あたし。ポン吉さんと一緒にいれるなら、なんでもするだよ!」

「おめえがそこまで言うなら・・・わかった。じゃあちょっとついて来い」

そう言ってポン吉は倉庫に向かった。

「今からこの扉開けるけんの。驚くなよ」

ポン吉は意を決して扉を開けた。

するとそこにはなんと、タヌキの置き物がズラーッと並べてあった。

「な、なんだいこれは!?

「これはの、信楽焼たぬきの置き物って奴じゃあ」

信楽焼!?

「そうじゃ。オラの生まれは、信楽じゃ」

信楽焼たぬき・・・かに人間の家の前でよく見かけるけど、なんでここに?」

「オラはこのたぬきモデルとなって働いておる」

かに倉庫たぬきは、みんなポン吉に似ておった。

「笠帽子かぶらされ、徳利を持たされ、目をくりっと開けさせられ、笑顔を無理に作らされる。

そしてそのあとどうなるか?」

人間職人がポン吉さんを見ながら、型を作るんじゃろ?」

「そんな訳あるか!!」

たぬ子は突然の罵声にその場にへたり込んでしまった。

「す、すまん。しかし怖いのはここからじゃけん。オラは鼻にストローを突っ込まれ円筒の容器に入れられる。

「え!?

「そして、石膏を流し込まれるんじゃ!」

!!!

「そして石膏が固まるまでオラはそのままじっとしとらんといかん。動いたら石膏が歪むからのぉ」

たぬ子の目からは思わず涙がこぼれた。

「やっと固まって、石膏が二つに割られ、オラが出てこれる。そんなことを毎日のごとくやるんじゃ」

・・・

「おめぇにそれが耐えられるか?」

・・・・・・耐えられる」

「え?」

「ポン吉さんと一緒にいられるなら、あたし、石膏なんて怖くなか!」

「いや、何言うちょる!お前にそんなことさせられん!」

「いや!あたし、ポン吉さんとおりたい!だから一緒に信楽焼の型になる!」

たぬ子は涙でグショグショになりながらポン吉に訴えた。

・・・わかった。そこまで言うなら、オラと一緒になってくれるか」

「ポン吉さん!」

その後、二人を型取った夫婦たぬき信楽焼は、まるで生きておるようだと噂になり、それはもう沢山たくさん売れたそうな。


しかし、たぬき石膏に入れる手法は、実は違法陶芸家集団仕業であった。

集団警察に捕まり解散。ポン吉や夫婦たぬきの型や置き物は、回収された。


その後信楽では、回収された信楽焼に似たたぬきを見かけた、という人が続出。瞬く間に噂が広まった。

その夫婦たぬきは、かわいい子供たぬきを連れていたそうな。

  • めでたしめでたしでよかった。 いまポン吉さんは、ロ**ンで働いてたりしてー。

  • 一方猟師は剥製にしたみたいな勢いでメルカリとかに昔おじいちゃんが作りましたみたいな剥製売ってるよね

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