「そんなことするやついねえよ」と思っていたのだけど、気がつけばうちの学生にも信じているやつがいるようなので気になった。
周辺的なことも含めて、少し書きたい。
自分の見聞きしてきた分野に限った話にはなるけれど、自分は比較的幅広い分野の学会や研究会で活動してきた方だと思っている。
否定のためだけに発言するやつはまずいないし、いたらその行為の方が批難される。
そのあたりの空気を読めていない院生はたまにいるけど、大抵はその子の方が先輩か教員にたしなめられる。
仮に「素人」の異分野からの批判の筋が通っていたとしても、その研究の価値はまず損なわれない。
そういう批判の矛先はその分野全体であって、そんなことを個別の研究発表の場でくどくど言っても非生産的。
(ただし、内輪の研究会などでなら、ブレインストーミング的にそんな議論をすることはある。
前の項目でも書いた通り、研究の価値はその分野の基準で決まる。
だから、その裏返しで、大家でも自分の専門分野以外の研究を是正することはできない。
是正もできないのに文句だけ言う、というのは、最初の項目で書いた通り、やらない。
逆に言えば、自分の専門分野の研究を聞いてそれが間違っていると確信したとき、それを是正するためにがっつり説教することはあるけれど、その際に「素人だ」と前置きすることは無い。
論文を読めばわかるはずだけど、研究者は他人の研究がクソだと思えばどこがクソかを公然と明確に説明する連中の集まり。
「素人でもわかる欠陥ですが」のような、曖昧で我々の価値観に反した表現を使うことは無い。
我々は、万事、明確さを愛している。
詰める意図の質問では無いので、質問者が適切な回答を得るために質問者側が提示するべき異分野から視点についての情報は提示しているはず。
なので、その誘導に乗れば、回答できると思う。
誘導に乗って回答した結果がその研究の価値にとってプラスだとしてもマイナスだとしても、そこにたどり着くことが大事。
何の面白みも無い内容で恐縮だけど、研究発表の場がクソのようなマウントの取り合いだと思われると差し支えがあるので、どこかに書きたかった。