2021-09-27

ABC予想は未だ予想のままなのか

2012年京都大学数理解析研究所教授望月新一ABC予想証明したと論文を発表し、およそ8年の査読を通して2021年3月学術誌「PRIMS」上で発表された。

2017年ごろから査読が終了しABC予想証明される!とマスコミでも度々騒がれていたが、現状はどうなっているのだろうか。

結論からいえば、今現在数学会はこれを証明として認めていない。

論点1

査読が終了したのであれば証明に間違いはないのではないか

→正確にいえば、査読は終了してはいない。

基本的には査読期間に問題点や疑問点があれば、他の数学者によってその懐疑点を提言解決や訂正を重ねていく。

実際、望月氏の論文にも指摘があった。指摘を行ったのはボン大学教授ペーター・ショルツェである。ショルツェ氏は30歳でフィールズ賞を受賞した現在数学界のトップリーダーでもある。

ショルツェ氏は2018年3月望月氏のいる京都へ訪れ直接論文についての議論を行い、その上で『Why abc is still a conjecture』という評価文を発表した。

この評価文は、一言でいえば「証明根本的な所で間違っている」である

望月氏は2018年7月にこの評価文についての反論文を出しており、この両者の主張がどちらが正しかったのか、これに関して第三者が明確な判定は行っていない。

論点2

学術誌に論文掲載されたのであれば証明問題はないのではないか

学術誌に論文掲載されること自体形式的意味合いが強く、掲載証明担保とはいえない。

さらにいえばこの学術誌『PRIMS』であるが、この発行元は京都大学数理解析研究所であり、編集長望月新一本人である

他意的なことを排除しても、この掲載が正当な評価を出来ているのかは疑問が残る。

論点3

現在評価

数学界ではこの論文は「とんでも論」として、真面目に検証している数学者は皆無である

なお前述のショルツェ氏は今年7月にzbMATHにて、さら論文について再度否定的書評を公開している。

  • 「査読が終了していない」んじゃなくて、そもそも査読っていうのはそういうものなの。 「論文として載せる価値がある」というのは「絶対的に正しい」ことを意味しないの。査読が担...

    • もちろん私は数学者でも何でもない。 しかしABC予想に関して続報が途絶えてしまったので、今までの事実ベースの情報を集めただけである。 査読の使い方については、マスコミ登場時も...

      • 「これからが査読」なんて一言も言っとらんがな。数学より先に日本語を勉強して来てくれ。 査読が担保しているのは「論文としての価値」であって、「絶対的な正しさ」ではないの...

  • 「数学」論文では「正しさ」は査読通過の前提です。 ここは科学全般の「正しさ」とは異なります。 理由は以下の通りです。 科学全般の論文では、最終的に正しさを決めるのは実験で...

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