ゲームを遊ぶ。難しいステージ、やたら強い敵プレイヤー。攻略は行き詰まり、息さえも詰まる。苦しい。何度プレイしても状況はよくならずむしろ悪化ばかりが続く。試行錯誤をトライ&エラーと呼ぶのはサクセスが約束なんてされていないから。
疲れ果て眠る。夢の中でコントローラーを、マウスを、キーボードを、ステージを、敵を、敗因を、あらゆるものを握りしめながら握力の入らない手で怒りまかせに握りつぶそうとする。そんなことにふと疲れ果て夢の中で意識が飛ぶ。
目覚める。プレイする。出来る。出来るのだ。出来るようになっている。飛べなかった段差が飛べる。見えなかった相手の動きが見える。昨日の連敗で吐き出したレートが戻っていく。
人は寝ている間に上達する。戦いの中で強くなることは出来る。トレーニングの実感がトレーニング中に得られる瞬間がある。だが最も人が育つのは眠りの中だ。
勝てないと感じたときはやるだけやってそれからじっくり眠るに限る。
攻略に終わりはない。エンディングは終わりではない。プレイヤーがいる限りゲームは続く。運営がサーバーを閉じた後ですら、どこかで誰かがモグリのサーバーを開くゲームがある。
勝者と敗者がゲームにいると感じるのは、瞬間的な世界の見方だ。世界の見方の尺度を広げ続けるといつしか勝者も敗者も消える。
今プレイしているもの、かつてプレイしていたもの、これからプレイするもの、それらの分類だけが残る。続けることは勝利を意味しない、降りることも勝利を意味しない。
ゲームを遊んでいれば、いつか分かる。