2021-09-09

福岡教育大学の初等の小学校教員主免一択は変わらない

福岡教育大学の初等のカリキュラム改革によって、副免が取りやすくなる、初等でも中学高校教員になれる、というデマが広まっています

しかし、改革しようが、初等は小学校先生になる人のための課程であって、中学高校先生になる人のための課程ではありませんよ、カリキュラム改革は見せかけですよ、という話。

福岡教育大学の初等は小学校教員一択

福岡教育大学の初等は、小学校教員主免の一択で、副免(中・高校免許)は取らせない、という方針です。

これは、寺尾愼一学長櫻井孝俊学長、両学長(両名とも不当労働行為をおこなった、不当労働行為学長です)による「改革」の大方針であり、その改革は、成功しました。


したがって、この方針は堅持されます


初等は、副免は取らせない、という方針は、変わりません。


この「改革」の眼目は、「初等の学生小学校教員にする」、ことにあります

これは、「初等の学生は、中学校の教員とか、高等学校教員にはしない」と同義です。


あくまで、初等の学生小学校教員一択、がポイントです。


もし、副免を希望しても、中学高校教員免許は取らせない、仮に副免として取れたとしても、二種免をかろうじて取れるようにして、一種免は無理としたいのです。

https://www.fukuoka-edu.ac.jp/campuslife/academic_affairs/glb0i0000000126j-att/glb0i00000009mmy.pdf


小学校先生になりたい、という人は、初等はおすすめです。しかし、中学校、高校先生になりたい、という人には、絶対おすすめできません。


あくまで、初等の学生は、小学校教員一択からです。


初等を小学校教員一択にする大学側のメリット

改革」以前は、初等は選修制といって、各教科ごとにわかれていました。「初等国語」だの「初等数学」だのといった区分です。そして、副免として中学高校一種免を取ることが一般的でした。また、取りやすいようにカリキュラム設計していました。本当は初等だけれど、中学高校)の先生になりたい、といって、教員採用試験中学校(高校)に合格する学生も、少ないながらいました。

しかし、「改革」により、初等は小学校のみ、となりました。

これによって、教員採用試験を受けるのであれば、初等の学生小学校しか受験できないようになってしまいました。

これが、実は大学側の考えている「改革メリット」でした。

まり、初等の学生には、小学校教員一択にして、実際に小学校教員しかなれないようにする、ということが、大学改革目的だったのです。


実際に、就職率の数字を見ていくと、それが明らかになっています



2014年平成26年)の就職状況を見てみましょう。

なお、学部だけの数字です。

この年の卒業生は669人です。

そのうち、初等・中等・特支の学校教育三課程の卒業生は498人。生涯教育三課程(共生社会教育環境情報教育生涯スポーツ芸術)は171人です。

この669人の、就職先を見てみます

小学校教員が177人(26.5%)

中学教員が80人(12.0%)

高校教員が57人(8.5%)

特別支援学校が32人(4.8%)

幼稚園12人(1.8%)

で、合計が358人(53.5%)になります

教員以外は、138人(20.6%)です。

学者は66人(9.9%)で、その他は107人(16.0%)です。

これらを合計すると、669人となります


なお、これを、初等だけに限って見てみます

初等から小学校教員が151人(48.4%)

初等から中学教員が22人(7.1%)

初等から高等学校教員10人(3.2%)

初等から特別支援学校が1人(0.3%)

初等から幼稚園12人(3.8%)

という内訳になります


初等から中学高校教員になる人間10%ほどいることがわかります

ちなみに、これは、「教員採用試験合格して中学高校教員になった」という数字ではありません。

教員採用試験合格した人間も含んで、不合格であっても非常勤講師として採用された数も含んでいるものです。


さて、では、2020年(令和2年)の就職状況のデータを見てみましょう。

これも、学部だけの数字です。

この年の卒業生は619人です。

そのうち、

小学校教員が281人(45.4%)

中学教員が76人(12.3%)

高校教員が45人(7.3%)

特別支援学校が40人(6.5%)

幼稚園が4人(0.6%)

で、合計が446人(72.1%)になります

教員以外は、115人(18.6%)です。

学者は21人(3.4%)で、その他は37人(6.0%)です。

これらを合計すると、619人となります


これを、初等だけに限って見てみます

初等から小学校教員が271人(72.3%)

初等から中学教員が3人(0.8%)

初等から高等学校教員が1人(0.3%)

初等から特別支援学校が1人(0.3%)

初等から幼稚園が4人(1.1%)

という内訳になります


この結果を比較してみましょう。初等の小学校教員になる比率が明らかに上がりました。

2014年では151人(48.4%)でしたが、2020年では271人(72.3%)ですから、爆上げです。


このおかげで、ダイヤモンドオンライン2021年5月31日、「教員を多く輩出した大学ランキング!」の記事の中で、福岡教育大学小学校教員就職者数ランキング日本一となったのです。

https://diamond.jp/articles/-/271717


大学教員採用試験合格者が多いことを、広報誌で誇らしげに宣伝しています

https://www.fukuoka-edu.ac.jp/about/press/joyama/glb0i00000000yjn-att/glb0i00000004k2g.pdf


ただし、初等から中学高校教員になる人間は激減しました。

中学高校を合計すると、2014年では32人(10.3%)でしたが、2020年では4人(1.1%)です。爆下げです。いや、ほぼ消滅と言ってもいいでしょう。


初等の選修制であった時、つまり改革前は、初等に来ることが小学校教員一択ではありませんでした。初等であっても、中学高校免許も取りやすかったのです。


校種は決めてないけど、学校先生になりたい、と漠然と志望している学生も多かったようです。そして、講義を取っていくにつれて、「初等だけれど、小学校ではなく、中学高校)の方が自分には合っているようだ」と志望変更ができました。

あるいは、「中等は難しいけれど、初等だったら合格できそうだ」と入学してきた学生も多かったでしょう。


しかし、現在は、そうした志望変更はできません。


初等に入ることは、小学校教員一択です。

もし、中学高校先生になりたい、というのであれば、中等に入るべきです。初等では、中学高校先生にはなれませんから


初等のカリキュラム改革でも、何も変わらない

初等であっても、副免で中学高校免許が取りたい、という学生が多いせいか、そして、初等=小学校教員一択に対する学生潜在的な不満が高いせいか大学カリキュラム改革を予告しています

https://www.fukuoka-edu.ac.jp/files/bgeditor/other/R5gakubuhenkou.pdf


初等に、幼児小学校、人文社会、理数自然芸術技能、とわけて、副専攻で副免(中・高の免許)取れるよ、とアピールしたいようです。


この予告を見る限り、副免を積極的に取らせていく、という大学姿勢は見えません。あくまで「取得することが可能になります」と、控えめな表現です。

これが、「取得を保証します」でしたら、確実に取得させる、と意味しますが、「可能になります」という表現は、「できるかもしれません」という意味であり、その裏には「できないかもしれません」という意味が隠されていることを、感じ取らないといけません。

また、取得の免許を「中学教員免許状(1種または2種)」としているところも注目できます高校の1種免については言及していないのです。


この改革執行部が勝手に決めているだけのようで、大学教員の間ではほとんど議論されている様子はありません。

https://twitter.com/fukkyosaisei/status/1417284940635414529


羊頭狗肉改革です。初等は小学校主免一択のままで、これまでと変わらず、基礎学力テストで副免の授業を取れるかどうかを決めていくのでしょう。

https://anond.hatelabo.jp/20210224152912


あくまで、初等は小学校教員一択です。

カリキュラム改革は、見せかけの改革です。「やってます感」を出すためだけにすぎません。


参考までに「福岡教育大学教育学部入学選抜方法等についてのQ&A」のチェックをおすすめします。

https://www.fukuoka-edu.ac.jp/files/bgeditor/other/qanda.pdf

この「質問6」に対しての、「回答6」が、大学姿勢です。


記事への反応 -
  • ここでは、福岡教育大学の初等教育教員養成課程(幼児教育選修は除く。以下、初等とします)の副免について、書いていきます。 ==== ===== 福岡教育大学の初等は、小学校教員の養成に...

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