2021-09-05

野党投票している人間の一人として

 私はここ二十年ぐらい共●党に投票している。ただし党員でもないし、積極的に支持しているわけでもない。一人の市民として「反・新自由主義」の立場から、それを意思表示しようとすれば他に選択肢が無いので、仕方なくそうしているというだけのことであるしかし、これは私個人選択と行動であって、他人押し付けるつもりは全くない。

 リベラルまたは左派野党政党/政治家に対する「弱者からの支持が伸びないことについて考えた、n=1の私の個人的な意見を述べる。

 結論から先に言えば、政党政治家のものよりも、その応援団を務めるマスメディア知識人が悪い意味で目立ち、ネガティブイメージ有権者に植え付けたことが大きな要因だと思う。簡単に言えば「あん人間たちが支持しているということは、その支持対象である政党/政治家も信用できないのではないか?」という素朴な不信感である

 不信感の全てを列挙することは私の能力では不可能だが、いくつか例を挙げる。

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(1) 自民党から民主党政権交代が起きた時、その直前頃には、テレビ新聞で盛んに「年越し派遣村」の話題を取り上げていたように記憶している。

 しかし、民主党政権樹立を果たした年の年末には報道も下火となり、「年越し派遣村」の場所は非公開となり、利用者の姿や肉声もほとんど報道されなかった。

 今でも当時と変わらない境遇で苦しんでいる人たちが大勢いるはずなのに、あれから年末テレビ新聞も「年越し派遣村」あるいはそれに類する活動を、自→民政権交代前ほどには報道しなくなった。

 マスメディア知識人にとって、庶民貧困問題は、自→民政権交代の起爆剤としての利用価値しか無かったのだろう。そのような不信感を抱かせてしまった。

(2) 鳩山政権は「最低でも県外」を合言葉にして、沖縄県米軍基地負担を減らすことを明言した。当時、東京拠点にする大手マスメディア知識人も挙ってそれを支持した。

 しかし蓋を開けてみれば、それは「九州離島基地負担を打診する」という「沖縄県以外の地方負担押し付ける」内容だった。「鳩山由紀夫公約を守れるように、東京(あるいはメディア関係者知識人居住地)に米軍基地を誘致して応援します」と言ったマスメディア関係者知識人はいなかったと記憶している。

 沖縄県以外で米軍基地負担している県の負担は「存在しないもの」として扱い、沖縄県以外の県には負担押し付けても構わないとする、東京拠点大手マスメディア知識人欺瞞が明らかになった。

 念のために言っておくが、私の居住地米軍基地負担している。

(3) リベラル左派が、庶民からの支持を集められたかもしれない機会が、過去に一度だけあったと思う。

 それは、某俳優が「テレビ韓流コンテンツばかりだから自分は見ない」と発言して、世間マスメディアから猛烈にバッシングされた時である

 あの時、某俳優に対する反論の主流は「テレビ局が韓流コンテンツを流す理由は、制作費/人件費コストを安く抑えられるから」というものであった。これは、おそらく事実であろう。

 しかし、それは国内労働者雇用喪失国内産業の空洞化を招く道筋である労働者雇用考える人や団体ならば「民族差別には与しないが『国内労働者雇用を守る』という意味でならば、私(たち)は某俳優問題提起に賛同する」と意見表明をするべきであった。反・権力左派支持の態度を普段はとっている芸能界関係者も、某俳優発言当時は「国内労働者雇用を守れ」とは言わなかった。

 あの時は排外主義者たちが某テレビ局前でデモをしたようだが、もしも同じ頃にあれに負けないぐらい「国内労働者雇用を守れ」というデモを展開できていれば、左派存在感をアピールできたのではないだろうか。しかし、そうはならなかった。

 「普段は、マスメディア知識人は『反・権力』や『左派思想の支持』を訴えているが、いざとなれば労働者の味方になってくれないのではないか?」と、根深い不信感を植え付けてしまった。

 実際、その不信感を裏付けるように、コロナ流行芸能演劇業界ブラック労働環境搾取実態が白日の下に晒された。

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 はてなブックマークでは、リベラル左派批判する声に対して「どうせ野党には投票しないくせに」と言われることが多いように思う。だから野党投票している人間の一人として思うところを書いた。

 自民党の独り勝ちは健全ではない。そういう意味では、まともな政権運営能力のある野党が育つことが望ましいことには同意する。しかし、だからといって野党やその支持者への疑問や不信を飲み込んで黙り込むのも、同じくらい不健全であろう。

 私自身はリベラルとも左派とも自認してはいないのだが、それでもリベラル左派の考えや意見を読み聞きして、学ぶことも少なくない。(もちろん、リベラル左派からでなくとも、学ぶことは多々ある。)学んだことのうちで、重要なのは対話可能性を諦めない」「他者に対するミニマムな信頼感を捨てない」といったこである

 これを目にした私以外の野党への投票者や支持者が何を考えて、どう行動するかまで私がコントロールする訳にはいかないが、何処かの誰かに届いて何らかの良い影響を齎してくれればと願う。

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