骨を切る整形をすることにした。カウンセリングの結果、費用は400万円弱。
韓国でやれば半分で済むが、どうしても失敗したくないので国内で倍値を払う。現在の貯金が150万円なので、残り250万円はローンを組むことになる。
生まれてからずっと自分の顔の骨格が嫌いだった。魚で言うとブダイに似ている。
BLACKPINKのような韓国アイドルやファミンちゃんのような美少女への憧れが一生捨てられない。可愛くてかっこいい女の子になりたかった。顔が良くないままこの先送る人生が本当に嫌になった。
骨を切る手術はダウンタイムが本当に辛いらしい。顔から四六時中体液が出続け、呼吸は詰まり、何度も自分の液で溺れそうになるし、眠れないし、顎は動かせないので固形物が食べられないとか。
その上400万円である。
---
整形することに決めてから、かなり大きな心境の変化があった。
その結果、まず、痩せた。
今まではダイエットなんかしても…どうせブダイだし…と思ってやる気が出ないでいたが、顔が変わるかもしれないというだけで食事制限からハードな運動まで、それこそ韓国アイドルのような生活が苦もなくできるようになった(1日サラダと炭酸水だけとか。それを1ヶ月以上)。
そうなると今度はおしゃれが楽しくなる。
毎日家から出なくてもちゃんと着替えて化粧して仕事するようになった。ピアスも毎日つけている。これのおかげでパッと外に出る用事を先送りにしなくなり、生活がよく回るようになった。ストレスも減った。化粧を落とすために毎日風呂に入るので、洗濯も頻繁にするようになって、家の中が明るくなった。
KPOPダンスを始めて、いくらか踊れる曲が増えた。自分が意外と運動神経がいいことをここで初めて知る。
今まで運動とは陽キャがやるものだと思っていたので、一切挑戦しようと思ったことはなかったが、顔が良くなるかもしれないと言う希望から始めてみたら、とにかくハマった。痩せるし、汗をかくので毛穴がしこたま綺麗になった。
嬉しくて毎日(リモワなのに)日焼け止めを欠かさず全身に塗っていたら、肌が真っ白になった。
コロナが終わったら、ダンススタジオとかにも行ってみたいと思うようになった。
そもそもご飯を食べないし、化粧品や衣類を見ても「私は整形するからここでお金は使わないんだ」と思うことで購買意欲がなくなった。
勉強が楽しくなった。
お金を貯めなければならないので、お金を使わない遊びとして高校時代にやったような日本史や外国語の勉強をしている。これが意外と楽しくてハマっている。
一つずつ賢くなることで自己肯定感も増すし、SNSで外国の人と繋がって話したりもできる。社交性が上がった。
またお金を稼ぐために夜に副業をして、スキルが増えていくのも楽しいなと思う。
---
整形することはまだ親にも友人にも伝えていない。恋人はもう5年いない。恋愛が億劫だった。自分の写真を見るたび消えたかったから。
整形は、誰にもやましくないけど、誰にも知られたくない。しかしいま20代の前半という若さで顔を変える決意をした自分のことはとても誇りに思っている。成長期では顔が歪むかもしれないし、アラサーになってからでは減価償却的に考えてコスパが悪くなってしまうからだ。
顔を治すと決めるにあたり、思ったことや変化を色々記録しておきたかった。
顔を直して得られる幸福と不幸はイーブンとどこかの整形オタクが言っていたが、本当にそうなのだろうか?
また無事に顔を治せたら読み返そうと思う。