2021-08-18

百合論考vol.00の感想

百合論考vol.00」を購入したので感想を書き残そうと思う。

https://102202.booth.pm/items/2602773

ツイッターだと文字数制限が厳しいのとなんか恥ずかしいので。

まず俺は、ノンケの男であることは示しておこう。百合は好きだがそれほど詳しいわけではない。

百合論考」で良かったのは

セイジロウ検証!あの子のまつげは何故長いのか」

芦生慧「百合解体

ゆりすこ「2010年代百合を振り返る ―そして2020年代へ―」

しかったのが

鞆谷六花「百合という二文字表現できない時代がもうすぐそこまできてる」

り「時代とともに変化する百合スタンダード

他はテーママニアック過ぎたり、特定作品を読んでいないと理解が難しいと感じた。あとは、可もなく不可もなくといった原稿も。

まず「検証!あの子のまつげは何故長いのか」はテーマが良かった。構成も上手く、トップバッターにふさわしい内容。だがトップにしたせいでこれ以降の論考のハードルが上がってしまう側面もあった。とはいえトップに持ってくるべきだったとは思う。

百合解体」はその名の通りジャンルとしての「百合」は解体すべきと、やや過激な論。俺は賛同しないが、当事者による論考という意味では価値があると思った。このくらいハッキリ言ってくれたほうが気持ちイイ。論考とはこうあるべき。

それと真っ向から対立しているのが「2010年代百合を振り返る ―そして2020年代へ―」。こちらはあらゆる女同士の関係性を百合とし、その中から好きなものを選べという論。個人的にはこっちのがしっくりくる。他の原稿もこっちよりの人が多い感じはした。

この論はテーマがわかりやすく、文章も読みやすかった。俺は今の百合はやや衰退気味の気がするが、1年経ってるし執筆出版とのタイムラグ問題か?今氏がどう思っているかは気になる。

百合という二文字表現できない時代がもうすぐそこまできてる」は論考としてはやや主張が薄い。日本語を書く上での基本的ルールを逸脱しているところもあり、論理の飛躍など構成も甘さを感じた。主催者からそのまま載せたのだと思うが、誰かに校正してもらうべきだっただろう。あとこの人たぶん理系高学歴だと思う。文章が完全に理系のそれなので。根本的な文章のクセって直せるのかな?

時代とともに変化する百合スタンダード」は文字で主張するのではなく、数字を使うというコンセプトは良かった。ただそれを活かしきれてないないという印象。見ればわかるようなことを書いても仕方がなく、そのグラフからどんなことが推測できるのかもうちょっと踏み込んでほしかった。というか全体的に文章自体が少なすぎる。鋭い視点もあっただけにもったいない

そもそも最大の問題アンケートの回答数が500件にすら満たないという点か。これはどちらかと言えば百合ジャンル自体の人気の問題ではあるが。個人的にはその程度しか回答が集まらなかったことに一番衝撃を受けた。百合ナビとかがやったらそこそこ集まりそうだけどな?

あと後半の22名へのアンケートは人数が少なすぎる上に、特定属性に偏りすぎているのでさすがに無意味趣旨からズレる自覚があるならカットすべきだったと思う。


あとは値段の高さはやや気になった。この手の本はラーメンと同じで1000円超えるとちょっと抵抗がある。送料がかかることを考えると相当なハードルになっている。もっと原稿の数を絞って600~800円程度になると手を出しやすくなると思う。本当は送料込みで1000円超えないくらいがベスト

今回は準備号ということもあり、テーマ統一性イマイチだったのも気になる。あまりマニアックテーマは書いている方は気持ちいかもしれないが読む方はしんどいとはいえ執筆者が集まらないとどうしようもないので初回に関しては仕方ないか執筆者が書きたいテーマNG出すのはしんどいもんね。

もう一つ付け加えるとすれば、このご時世に紙オンリーでの出版は謎。紙で出すこと自体がコンセプトなら問題は無いが、電子版も配信した方が売り上げは上がると思う。住所とか入力しないといけないのは購入へのハードルをかなり上げてしまっているように感じる。何を重視するかは主催者次第なのでなんとも言えないところではあるが…。

初回ということもあり粗もあったが全体的な満足度はまあまあだった。vol.1にも期待したい。

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