ニンテンドースイッチでゲームするのが好きだったが、それができなくなってしまった。
スイッチには自分のアカウントと、爺ちゃんのアカウントを登録している。爺ちゃんはゲームをよくやる人だった。FFとかドラクエを何周もやりこんだプレステ2もうちにある。自分がドラクエ11をプレイしているのを見てスイッチに興味を示したときは、ちゃんと遊べるか心配だったけど、結局いろいろ文句言いながらも楽しんでくれていた。
そんな爺ちゃんは今年の春に亡くなった。
父親のいない自分を幼いころからずっと世話してくれて、頑固でちょっと怒りっぽかったけど、なんだかんだで可愛がってくれた。アイスクリームをよく買ってくれたし、自分のためにカブトムシも捕まえてくれた。大好きで、最高の爺ちゃんだった。
近年に癌を患ってしばらく入退院を繰り返していたが、大抵はけっこう元気になって戻ってきた。一番最後に入院したとき、今度もきっとまたひょっこり帰ってきてくれるだろうと思って気長に待っていたら、症状が悪化して意識もなくなって、コロナで面会も満足にできず、そのまま逝ってしまった。
ゾーラの里あたりで立ち往生したままのブレワイのデータ、まだ裏ラスボスまで倒していないドラクエ11のデータ、島のそこかしこに勝手に物を置かれてしまったどうぶつの森のデータ、ゲーム中に間違って撮影ボタンを押して撮っちゃったであろうよくわからないスクショや動画たちが残っている。
電源をつけたら、爺ちゃんとギャーギャー言いながらスイッチで遊んでいたあのときの思い出が液晶画面によみがえる。たぶんいろいろ考えてめちゃくちゃ泣いちゃうと思う。楽しかった過去を追体験できるのは嬉しいけど、もう二度と味わえない幸せを目の前にするのはどうしても寂しい。だから爺ちゃんが亡くなってからまだ一度も起動できないでいる。