2021-07-23

ルックバック、南大阪カスカップル

ルックバックの犯人像の話、はてな界隈(に限らないかもしれないが)で議論が盛んに交わされてたね

議論になっていないようなものもあったかもしれないが、とにかく話題の的になっていた

あの侃々諤々(それと五輪開会式小林賢太郎のごたごたを見ていて)を経て

見取り図ネタ「南大阪カスカップル」ってあるじゃん、あれのことを考えた

動画こち

https://www.youtube.com/watch?v=TBwfdZtL3lw

個人的に好みではないがあれはとてもよく観察されてる(ように見える)ネタだなとは思っていて、というかまあタイトルそのまんまの人物像をよく造形して描写してるよね、と思わされる

喋り方とか動きとかシチュエーションとかあるな~っていう感じでほんとにいるいるああいう人、たくさん見るね、って感じで、

しかし一方で同時に「ああいった人物はこうであろう」という「そうではない人」の持っている「ああいった人物」のイメージや要素のステロタイプ抽出して誇張して描いてもいると思う そういう印象のネタ

前述した「あるあるだな~」と思った自分感想も実際にはそんなには現実で彼らの行動や存在を目にしていない、知らないのにも関わらず

頭の中に持っている典型的な、少し差別的感情の乗ったイメージから作られている人物像と照らし合わせて「なるほど面白い」と思っている要素もでかそうだ

本来実像を知らないのにも関わらず頭の中にあらかじめ持っている「南大阪カスカップル(つまりヤンキー)像」と照らし合わせて「正解だ」と思えるようになっている

からこそむしろ多くの人間「あるある」だととらえてしまう、そういうところをうまく刺激している、そういうネタ

中川家も似た手法ネタをやっていると思うが、少し違うのは彼らの芸はもう少し「形態模写」「観察」と「過去の人々の思い出」に寄っているところだろうか

両者ともに共通するのは対象への「愛着リスペクト存在するネタもあるにはあるだろうが敬意というのとは少し違う気はする)」のようなものだと思うが、

それがなければ世の中にウケはしないのだろう あればいいのか、あったとして侮蔑ではないのか、と言う向きもあると思うがその議論はひとまず措くとして

愛着、親愛、敬意があるか否か、このあたりが実在(と思われる)人物ネタにする際の最低限のラインなのだろうと感じる

あれを実際ああいう人たちが見てどう思ってるのか、自分の事だと感じてあるあるネタとしてウケているのか、

もしくは自分の事だと感じてクソむかつくことしやがってと思っているのかふっと気になった

まあどちらもいるかもしれないしいやこんなやついねーよ、これは自分の事じゃないね、と思って気にもとめない人もいると思うけれど

というか今動画コメ欄見たら「なぜこのネタ批判が来ないかと言うと、南大阪には本当にこういう人がいるからです。」というコメントがあった

本当にこういう人がいるとしても燃えるような気がするがさらに後続のコメント

「これが自分たちだとは気づかずに人生を終える」「こんな奴おるなぁって他人事のように笑って人生を終える」っていうのがあって

同じような事を考えてる人がやっぱりいるものだと思った でもこれらのコメントにはどこか見下したようなニュアンスがあり、

やっぱり「自分たちとは違う種類の人間」「外側の存在」ととらえているようだ だから面白く笑えている要素もあるだろう

もっと強く言えば中川家がよく描くような「仕方ないなあとは思うが憎みきれない」「おかしみ」のような情よりはもう少し意地悪な意識で描かれているか

あるいは本人達にはその意図はないが受け手がそのような意識で受け取るだろうことは想定されているのかもしれない

(ところでこれは蛇足なのだが、中川家ネタネタ感、観察眼のありようについては実は剛より礼二の方がやや対象への意地悪さがあり

 剛の方がやや対象への愛情が勝っているように感じて、この絶妙バランスの嚙み合いが面白さを生んでいるように思う)

彼らをバカだと思ってもいい、カジュアルに笑ってもいいはずの存在だと無意識にとらえている、それを肯定している人間が多くいる社会からこそ炎上をしていないのかもしれない

しかもしかして完全な他者のように「自分たちだとは気づかずに一生を終える」と思っている存在

そのまま実はコメ欄にそれを書いた自分自身のことかもしれない、ということを考え始めたときとてもメタ的なネタであるとも思う

見取り図自身はどうかというと、彼らはそういう人たちの中に囲まれ暮らしていた過去コラム等で描いていたりもするし、完全に別の種類の人間としての立ち位置から描いているようではない気がする

しろ彼らや彼らの生きている日常への親愛の情や彼らの生活ディテールの知られていない突飛さ、面白さをネタにして見せたい、昇華したいみたいな気分が多くあるのかな、という気はする

自分自身出自存在ネタにしている人物やその立ち位置とまるきり同じととらえているかと言われれば微妙だが、少なくとも完全な他人とみなしては描いていないだろう

あれはそんな見取り図という絶妙立ち位置社会においても人格においても)のコンビがやることで自虐的な要素があるから許されてるのかな、という側面もあるのかなと思う

毛色のいい、見取り図よりも高学歴コンビがやったらとっくに燃えているような気もする 二人とも東大であるみたいなことを売りにしてるコンビがやったらごうごうに燃えてるだろうなという気はする

(無論これらのネタ議論を呼び起こすほどにはまだマスに届いていないというだけの話かもしれないが)

それとも数年数十年を経たあとでは特定の要素のある人をバカにしたネタだと言われて見取り図もいつか謝罪することになるのだろうか…とかまあなんかそういうこと考えてしまった

しか本質的にはお笑いとはどうしようもないような、やりきれないような社会からこぼれ出てしまったような人間

それでも愛おしい生そのもの演者自身はるかに越えて肯定するような営みというか最後の手段のようなものではないか、と感じることがあるので

世間で未だ寅さんが愛されている、作中で愛されている様に描かれていることのベースがこの辺りかなと感じる

また最近読んだ岸田奈美さんの向田邦子評にもこれに近い感情が書かれているのではないかと思う ぜひ読んで下さいhttps://note.kishidanami.com/n/n3fa11af476ea

たとえいつかこういったネタの上に議論が巻き起こったとしても、時代にそぐわないからとはなからないことにされるような状況にはならないでほしいと思っている

7.23追記

今朝読み返したら文に既視感を味わって記憶をたぐった結果

青春ゾンビ」さんのお笑い評に自分で思っているよりめちゃくちゃ影響を受けている結びを書いてしまっているのに気付いたのでその旨を書いておく

自分100パーセント感想文章だと思って書いてたの恥ずかしい、全然そんなことなかった すみません

感慨自体は書いてあるそのままなので文章を直すことはしないでおくが、青春ゾンビの著者の空気階段の公演評がこんな匿名文章よりもずっと高解像度で笑いへの愛情に満ち溢れた名文なのでぜひ読まれてほしい

https://hiko1985.hatenablog.com/entry/2021/02/25/200507





追記2

ネタにした相手愛情や絆があるかなんて外部からからないよね。北尾氏のブログ読むに小山田氏の例なんかそう。その判定基準は脆いくて危うい。

自分もそう思っているしそのような読まれ方をされてるわけではないと思うが一応申し上げておくと、

当事者がどう思ってるかはわからない、というのは本文に書いたとおりでそれは当事者の声を聴くしかないだろうなと思う

しかし好評であった例の話は盛山本人がしたことがあるんだね、ブコメありがとう 逆の考えの人もおそらくはいるだろう)

描き手の親愛や敬意があれば許されるべきでそれが免罪符になる、

その有無によって存在していいネタとそうではないネタを分けろ、それは誰かが判定できるししていいことだと言っているわけでもありません

ここで挙げている芸人ネタ空気階段もそうだが)においては演者製作者がネタ内で描いている存在を誰に言われるでもなく当り前に肯定したい存在として描いている

同一視とまではいかないが自身の足場の延長線上の、しか他者として愛着や敬意、共感等の感情駆動で描いてるように思えるし見えることが受け手である自分にはあるという話 

動機がどうあれそう遠くない未来において特定属性を題材にしたようなこういった表現は淘汰されたり自粛されたりしていくようになるのかもしれないが

その存在自体をきれいさっぱりなかったことにするのは少し違うかなと思っていろいろ考えたので書いた、まあなんかそのような話をしたい

トラバ >見取り図は、「自分たちのあり得たもうひとつ世界線」と位置付けてあれやってる気がする

膝を叩いてしまった なんだか腑に落ちるような気がする

  • 見取り図が堺であのネタをやったら、 あのネタに出てくるような南大阪のヤンキーに囲まれて ヒーローみたいな扱いを受けたらしいから 当事者には大ウケしてるよ

  • まーた「お笑い」ヲタの我田引水コラムかよ

  • 他地方出身、南大阪在住。 この動画は初めて見た。   自分の理解では、このネタが(今のところ)燃えていないのは、ここで自分が笑われていると感じる層が少ないからだと思う。 味覚...

  • 盛山が堺出身かつカスという当事者性がデカい

  • 変なおじさんの頃から何も変わっていないのさ

  • この手の話を見ると、ロバート秋山やドランクドラゴン塚地のオタクいじり系のネタを思い出す。 https://youtu.be/omWxo1pnMoM https://youtu.be/0IRti393Mwc 他にも大量にあると思う。 これ見た当...

  • 綾小路きみまろが叩かれてないのは客が「自分のことじゃない」と思ってるから で最近は糖質の登場によってそうではなくなってきた 弱者が弱者ぶって権利を振りかざすことが出来るよ...

  • 精神疾患の人が元々被差別属性というのはあるかも。 おっさん差別なんかも言われるけど、おっさんは就職差別、結婚差別などは受けていないしな。 見取り図が部落ネタやったら許され...

  • ユダヤ人虐殺ごっこはお笑いのネタだとフィクションだといっても許されないのだから 明らかに弱い立場の患者を狙い撃ちにしてるネタ

  • チーターマンの次はルックバックなのか

  • 見取り図は、「自分たちのあり得たもうひとつの世界線」と位置付けてあれやってる気がする

  • ラップみたいなタイトル。 かっこいいな。

  • なんだかんだ言ってるオタクくんもさ、声優の出演する生配信番組でのモラハラやセクハラや下ネタっぽいやりとりは大喜びで草生やして見てるんだよ 正義感にあふれてるから人を弄る...

  • 南大阪のカスカップルは結局彼女を大事にしてるし結婚もする予定というストーリーがあるのが上手いというか若い子から反感を買わないやり口だと思う 「高齢者に席を譲るけど公共の...

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