2021-06-22

映画大好きポンポさん(多分ネタバレあり

の話の前に、俺の故郷増田県の話から始めよう。俺が増田県を出て埼玉一人暮らしを始めてもう干支が一回りした。今年も甲子園には私立増田清栄高校が出る。7年連続18回目。わかってる、あのクソ高校野球部ときたら関西下りガイジン部隊巣窟で、クズ高校だった清栄の偏差値を上げるためのコマセでしかない(しかちゃん偏差値は上がったから見え透いたコマセも効くものである)。スポーツ特待生一般生徒は校舎すら別、ありゃ、2つの高校に強引に看板を掛けてるだけだ。地の人間なんか3年に1度ぐらいアリバイのように3塁コーチに立つぐらい。それでもまあ、甲子園が始まれば俺も増田県で産湯を遣った人間である、なんだかんだで結果ぐらいは気になる・・・

同じような感覚が、俺の中で「ネット発」というやつにある。いや何、原作は初っ端だけ商業の網に運悪く引っかからなかったけれど、彼は創作エリートで、こんな場末でぶつぶつ言うぐらいしかできない俺とはくらべものにはならない。でも増田清栄の連中に感じる数倍ぐらいは「俺たちの」感がある。ならばその夢の晴れやかだか無惨だか知らない終わりを見に行かなければならない、という訳だ。

しかし、こういう状況だと作る側はしんどい。少なくとも原作からは言った連中からすれば、動画になったとはいえ結局その2時創作にならざるを得ず何をしても「解釈違い」と叩かれる可能性はある。その中であえて新キャラをぶっ混んで1エピソード(と言えばいいんですかね)を敢えて入れてきた勇気はその成否は別として褒めておきたい。入れてきたとしても、全体に通じる「足を引っ張る悪人はいない」という守るべき最低限の線はキチンと踏んでいる。某ネトラボはその点を激しく排撃していたが、もとからそういう「おかゆである。その点を看過してわざわざ「おかゆじゃん」というのは明らかにお前は黙ってろ案件ではあるまいか。こういうのでいいんだよこういうので。おまえは試写室で硬くて暗い映画でもメモ取りながら見てろ。

さらにいえば、追加エピソードは極めて現在的で、かつ意表の付き方はなかなかいい。そして作中ジーンの言を借りて”俺がこれが必要だと思ったから足したんだよお前がどう思ったとしても”と開き直る。下手な言い訳より余程好感できるというものだ。この追加によってこの映画ちゃんと、そして最大の眼目でもある「90分にする」という目的も達している。この映画もう一つの興味は、ちゃんと予定の尺を作れるかという点だ。その曲芸破綻なくこなし通した、というのは十分に称賛に値しよう。

もう一つ、この追加でプラスになったのはミスティア描写だろう。原作(但し1巻のみ)では単なる後背の完璧超人であったが(初見の時いつ裏切るかと思っていた)、削られた部分を考えてもそれを超えてきた。

ただし、原作寄りの見方をすれば時系列の切り替えはあまり映画的にしたいという欲が見えすぎる。原作的な同時並行でもよかったのではあるまいか

一番気になったのは、編集シーン。あれ、全盛期にそれをメタ皮肉った「num1000って大体こんな感じ」というフラッシュ動画に見えてしょうがなかった。PC上のる編集シーンなんてどうしたって絵にはならないけどね。これを頂点に、随所に「あと一歩でありがちなダメ邦画」に陥る剣ガ峰に立っている感が目立つ。

もう一つは、アニメ描写なのか「ココすごいシーン」というのを絵だけで何とかできず、記号的に処理した(のか、記号自体がありうるリアリティラインなのかが微妙ではあるが)のはあまり頂けない。原作はうまく黒澤したけどあれをアニメでやるわけにもいかなかった。

とはいえ、その致命的な一歩を誤って踏み出さなかったバランス感覚があって本当に良かった。綱渡り師はちゃんと彼のロープ渡り切った。ここらじゃしばしば綱渡りは失敗する。中にはハッパ決めすぎてロープからテメェが落ちたことにも気づかない莫迦までいるからな。

気楽に前向きハッピーに、ってのは悪くないし、その目的にほんのちょっと我意を混ぜ込んだにしては手際よく90分にまとまってる。エンドロールも含めて、こまめにくすぐるサービス精神も旺盛。郷土出世頭を仰ぎ見るこちとらとしては、拍手喝采大団円だ。それでいいじゃないですか。こういうのでいいんだよこういうので。

まあ、佳作と言っていいんじゃないでしょうか。

総評パンツが見えたので星3つです

  • これが 『後方彼氏ヅラ』って増田ですね。 初心者の皆さんは覚えて帰って下さい。

  • 『映画大好きポンポさんディレクターズカット・完全版』ていう120分バージョンが好評らしいよ。これはオフレコで聞いた話なんだけど。

  • え?パンツ見えてた?どのシーン???ぜんぜん気づかなかった

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