2021-05-18

中二病

中二病という言葉が好きだ。

元々は中二病という言葉はその直撃世代にとって抑止力だった。

多くが「中二病は悪」という共通認識をもち、自らのそれを大人になるまでの時間で徐々に修正する・・・そういう先人の残した指針としての機能が確かにあった。

中二病の明確な定義は難しいが、おおよその場合「強固な自我の芽生えに伴い発生する欲求自尊心自己肯定感との付き合い方を失敗したケース」を指している。

自分特別な力があるように感じる(根拠のない全能感)

洋楽を聞く、感情がなくなる、眼帯をする(人と違うことをすることで承認欲求を満たそうとする)

上げればキリがないが、これが派生すると

・チームで共通目的を目指す際に失敗はチームメイトのせい、成功自分のおかげのように振る舞う責任を負うことを過度に嫌う(他者を害してまで自尊心を守りたがる)

DQNになる。評論家気取り。(自己他者に優先すると錯覚する、それを誇示したがる)

など、周囲に害を振りまくタイプにもなる。

逆に強く厨二病意識していた人はそれを恐れるあまり自己過小評価所謂陰キャのようになってしまうことも有ったのだろうが。

ともあれ、実際の所こうした類の人間中学生に限らず多くいる。

そして彼らを見て「やり直しの効く年齢の時点である程度矯正しておいてよかった」と心底思う、それが中二病を支持する理由だ。

 

敢えて中二病という言葉を人に投げかける場合

若さ故の過ちを全て「中二病」と称することで「今では笑い話」「既に完治した」という許しを得るために使う。

悪く言うつもりなら中二病なんて言葉を使わずともいくらでも叩きようがある。

近年それを理解できずに過剰反応してしまう人が多く露出するようになった、敢えて増えたとは言わないが。

もちろんリアルで口にするにはリスクのある言葉で、それを分かっているが故ネット上でのみそのやり取りを行うのだからそういう人がいることも織り込み済みではある。

その上で触れられたくない部分に無神経に踏み込んだ人が悪いのは間違いないが、もし「中二病」という言葉への理解のなさ故に生まれ軋轢であるなら

それは少し悲しいことだと思う。

 

近年はアニメの影響で中二病という言葉が誤って広まってしまった。

言ってみれば中二病の光の部分、クリエイティブな人たちが作り上げた「恥ずかしいけど悪いことではない」という上澄みを中二病の全てであるように認識してしまっている。

人は自分が「善」だと思っていることを他者から「悪」と呼ばれることを極端に嫌う。

中二病を善ないし悪ではない、と考えているとすれば「中二病は悪」という言葉暴力的レッテルに映ることだろう。

繰り返しになるが前提の共有を怠った側に非があるのは言うまでもないが、本来許しであったりなるべく傷つけまいとした助言であったものが全て悪意に変換されているとすればあまりに悲しい。

中二病は悪。

そこには親も先生も友人も言ってくれないあまりに人の心を傷つける教訓が詰まっている。

過去の行いに対する数少ない免罪符にもなり得る。

単なるキャラクターテンプレ属性として漂白してしまうにはあまりに惜しいとは思わないか

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