すきな子がいる。
趣味を通じて知り合って、毎日通話をしながらだらだら話して、遊びに行ってお酒を飲んだりもして、お互いに今は一番多くやり取りをしている。
仲がいいのだと思う。外から見ても多分そうで、私はその子の特別で、その子も私が特別だと言う。
私は彼女が好きだと思う。私は特筆するような何かがない、空っぽでつまらない人間で、家族とも不仲で、ようは寂しいから。
でも彼女は私のことが好きではない。好きだけど、そういう好きではない。付き合ったりは出来ないよ、と返されている。
そんな彼女には昔すごく好きだった人がいて、告白してフラれているけれど今でもとても慕っている、仲良くしている、という話を、知り合った当初から聞いていた。
その人からもらったアクセサリーが手放せないし、気に入っているからいつもつけている、とも言っていた。
そっか、と素直に聞いていたけど、その人に嫉妬する自分がいて、「彼女はその人が一番なんだろうなあ」とはなんとなく思っていた。
その人も大事だけど家族みたいなものだよ、増田のほうが大事だよ、という言葉を、そっかあと話半分に聞いていた。
先日話しているなかで、彼女が副業としていまの本業とは分野の異なる仕事を始めるのだと聞いた。
どうして?と思って聞いてみたら、「友人のAを手伝いたいから、友人Aの頼みだから」と返されて、そんなに仲のいいひとなんだなあ。いいことじゃん。と他人事のように思っていた。
よくよく聞いたら友人Aは彼女が昔すごく好きだった人だった。
Aは既婚者だから。って言ってたけど、家族だからって言ってたけど、それでも好きなんだよね。そういう好きではないのだとしても、本当に大好きなんだろうな。
そのポジション、当たり前だけど私ではだめなんだな。そうにはなれないんだな。
全部納得がいって、なんだかもうどうでもよくなってしまった。心がぎゅっとして、それからさっと冷める感覚だった。
これからどういう顔して会えばいいんだろう。
一番になれなかったから彼女のことをもう好きだと思いたくないのか、彼女のことが分からないのか、どれが原因でこういう気持ちなのか分からないけれど、みっともない嫉妬は疲れるし、報われないのに思い続けることも出来ないし、もういいかなと投げ出したい。諦めたい。
すきな子がいた、といいたい。
でもまだすきな子がいる。