お世辞をうまく処理できない。
とりあえず「ありがとうございます」とか「そんなんじゃないですよ~(笑)」とか言うと、それが偽りだとわかっているのに『自分はこういうことができてしまうのではないか?』みたいな観念が植え付けられて、調子に乗りやすい私は必ずミスを犯し、酷い失敗をする羽目になる。
自分にはそんなことはできない、とはっきりと認識しているから、ギリギリのラインで社会生活を営んでいるのに、お世辞を単なるコミュニケーションの潤滑油程度に考えているコミュニケーション強者の人々は、無根拠な褒め言葉を撒き散らす。
私は他人からの評価を滅多に貰えないコミュニケーション弱者であるため、他人の評価をまともに受け取れるプロトコルが脳内で構築できていないのに、コミュニケーションスキルに長けた人たちは軽々しく無邪気な善意でも以てしてそんな発言をする。
私にはそんな能力が欠片もないのに、彼らがコミュニケーションする周囲の環境においては当然に有しているという勝手な社会観念を持って無能な私にスキルがあるとでも押し付けようとする。
うまくお世辞を処理することが出来ない以上、私が選択することになったのは「私を肯定する意見のうち根拠がないものを全て否定する」ことだった。
中身のない勝手な思い込みか、根拠薄弱で突飛すぎる提案は全て無価値で、私にとってはむしろ害悪だった。
だから、褒められた時私は絶対に真っ向から否定するか、無視する。
中身のない肯定はこの世で最も有害なコミュニケーションだと、勝手に思っている。
人によってはこれを愛という。