2021-03-06

ポーカー作品が読みたい

狂犬は自分の手札の中の、ダイヤの8を一別して、心中でほくそ笑む。

フロップ――。場に開かれた3枚のカードの内2枚が8。

ハートクラブの8。

――スリカード――

まずまずの手だ。もちろん顔だけは演技を続け、困り果てたようにゆがめる。

ターンがめくられ、狂犬の目に換気の色が宿る

――フォーカード――

ターンの札は、場に開かれた4枚めのカードは、クラブの8。

――フォーカードだッ!

狂犬がクラブの8から目を離し、トオルに目を向けると、そこには自信満々の若者の顔があった。

その自信満々の顔を見るといても立ってもいられない。

もう、笑いを抑え込むのに耐えられない。

必死カード最後の悪あがきのポーカーフェイスをしているのが、もうおかしくておかしくて、たまらない。

困りながら、プルプルと肩を小刻みに振るわせ笑いをこらえるのに必死

――止めてくれ、あの自信に満ちた顔。腹がよじれるぅッ

「降りていいんだぜ? いくら狂犬と言えども、この勝負から下りたからって、負け犬呼ばわりされることも無いだろう」

「この私が君ごときとの勝負から下りる? ないですねぇ」

「そうか、じゃあ、勝負といこう」

――やめてくれ。その自信。この後のヤツの顔を思うだけで、どうにかなりそう!!

狂犬が思うのももっともであり、この勝負フォーカードを超えるには、Aフォーカードしか手はない。

――Aフォーカードしかありえない、が…

Aフォーカード以上の役を完成させる必要があるのだが、場に開いた3枚の8、一枚のA。

――Aフォーカードを作るには、手札がAペアである必要がある。

――見ればわかる、立ち上がりのしょぼいレイズ価格。ポットに対して半額ベッド。しょぼいしょぼすぎる。

――見ればわかる。あのチップのぶつけ方はブラフだ。8のフォーカードを騙っている。爆笑必死ブラフ

――そして4枚目……ダイヤの8はこの手にあるのですねぇ

――仮にAペアだったとして、リバー最後に開くカードにAを引く必要がある。まさに運否天賦の状況。圧倒的有利

まさしく、負けの確定した勝負

状況だけで、ハッキリと描かれる、この勝負

「では最後の札を開きます……」

最後の札は。

――クラブのA。どうでもいいカードだ。なにの意味もないカードだ。ただ…

気になるのは、場に「二枚Aが完成した」ということだ

――もしもAペアだったら……?

――それはない。フリップフロップ、フロップ。立て続けのベッドで奴はしょぼいレイズしかしていない。

――Aペアで半額レイズなんてことがあるか?ましてフリップフロップの時点で場に「A」めくられていたとして、手札のAと合わせて初手Aスリカードを持って、半額レイズ

――ブラフだ。ある分けがない。Aペアなどありえるわけがない。それこそ運否天賦ギャンブル世界。Aフォーカードの幻影をまとったブラフ統計的に圧倒的に手札の優位は私にある!!!

――Aペアを奴は持っていない!!

「私はオールインです」

――殺す。

――乗ってこい!

「では僕もオールイン

――お前の有り金全部喰らってやる!!

狂犬の手元で開示されたダイヤの8は、まさしくフォーカード構成きらびやかに輝いていた。

一方には、自信の満ちた表情にギラリと光る眼光をたたえたトオルと、その両手から

放たれた、凶弾。

まさしく狂犬を撃ち殺すために放たれた、凶弾。

――射殺《Aフォーカード》――

――ブラフのはずだったじゃないか

――レイズしていなかったじゃないか

――最後のAが出ない限り負けが確定していただろう。

――場の三枚の8を見てこっちのフォーカードの役を考慮しなかったなんてありえないだろう。

わず笑い声を上げるが、こわばった喉からは枯れた空気の音しか出てこない。

場が静寂に包まれる。

ハバナ産の紫煙が、安い照明の下をたゆたい。

血の気が引く。

無い。無い。無い。無い。無い。無い。無い。無い。

あり得てはいけない。

決して許してはならない。

こんな――

「イ、イカサマしてんじゃねぇぞ、コラァ!」

  • 増田が読みたいのはポーカー作品というより、俺TUEEEでは?

    • ポーカーにもラノベにも負けてそうだ・・ ポーカーフェイスという成語があるとおり、駆け引きでどうにでもなるゲームの駆け引きを描いたらおもしろいよねっていう話だろ まあブリッ...

  • スクールポーカーウォーズっていう作品があったなあ

  • Aペアが、アンペア、としか読めない。   エースのペア、にすればどうだろう?

  • 銀と金にポーカーの回があったよ

  • 100万$キッドというポーカー漫画が大昔にあった。

  • まじめに考えてみた。 プリフロ トオル(AA持ち)がミニマムレイズ 狂犬(8X持ち)コール フロップ 88A フロップ トオル(AA持ち)ハーフポットベット 狂犬(8X持ち)コール ターン 8 は...

  • 三十年ぐらい前に早川書房から文庫本で出ていた海外ミステリ小説で『片目の説教師』と云うタイトルの小説があった。主人公はベトナム戦争に従軍した経験を持つ、片目が義眼でセブ...

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