2021-02-05

自分がどのような音に囲まれていたのかを抜き書きしてみる。その6

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8歳で格差を感じて、9歳で立派にダメ男子で、10歳前には初恋を覚え、11歳でシェーンベルクを読み、12歳でメシアンを読み、スクリアビンに到達したのが13歳の4か月ほど前であった。クセナキスを知ったのと同時期である

全音楽譜出版社から安くスクリアビン楽譜が出たので、お小遣いで買えたのである。当然クセナキス楽譜なんかブージーやサラベールなので買えるわけがなかったが、日本から出ている楽譜は手に入った。同じ時期に「法悦の詩」をNHK-FMエアチェックで聞いたので、それで興味を覚えたんじゃないかと思う。

もともとスクリアビン楽譜は、ヤマハの教材に載っていたので、それでぱらぱらと知って興味を覚えた。しっかり買って譜読みをしてみようと思ったのが中学1年の時だった。

スクリアビンは手が小さく、日本人の手でも了解可能な指遣いが多かったのである。もちろん先駆者井口基成氏であるが、彼の世代ではまだ首都圏ピアニストけが弾いていた。全音から出ると同時に一気に田舎中学生に広まったと感じている。

この、スクリアビン全音から出るというのは、先輩方にとっては、相当ショックだったようだ。

なぜならスクリアビン楽譜ベリャーエフ出版社というロシア音楽を専門にしている出版社一曲づつ売っており、収集は相当な金額になった。富裕層でもバイトして買っていた。それが、田舎中学生のお小遣いで買えるのだから、そりゃへこむだろう。

最初に読んだのは2番だったが、その次にゆっくりゆっくりソナタの第4番の第1楽章を譜読みした日を、まだ覚えている。

近代和声を初めて耳ではなく指で覚えたような気がしている。ジャズピアニスト志望で耳コピする中学生も、こんな感じだったのだろうか。

で、極めつけは終わり近くの4:3。あのパッセージは本当に天国的で、あのような浮遊感をまだ自分の曲で出せていない。

第2楽章ラストになると、ずっと左手はけたたましく連打になるため、夏に窓を開けて弾けば、周囲にまる聞こえになっていた。さぞかし遠くまで私の音は飛んだだろう。中学時代スクリアビンが手にも耳にも合っていた。

合わなくなってからは、スクリアビンはさほど弾いていない気がしている。

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