まず、せめて誘拐という言葉の意味位は調べた方がいいのではないか。刑法まで見なくてもいいので、辞書で。
《名・ス他》人をだまして誘い出すこと、連れて行くこと。かどわかすこと。
「―事件」
冒頭に挙げられているツイッターのメッセージは嘘偽りなく真実であれば、「誘拐」として刑事罰の対象にするのは難しいかもしれない(ただ、ツイッターで見ず知らずの家で少年にそういった安易なメッセージを送る人間が単純な善意だとは私には信じがたい。)。また、仮想事例で言えば(これも荒唐無稽に近いが)本当に押し掛けてきた未成年者が自分の意志で家に入ったのであれば、誘拐とはいいがたいだろう。但し、そのあと帰らせなかったり、親権者との関係調整のための動きを何もしなければ、民事・刑事上の違法行為にはなるだろうが。
元増田は意図的に無視しているのかわからないが、こういった「家出少女」に対してうちへ来い等と連絡をする人間の大半はわいせつ目的であり、あるいは、性風俗で働かせるための労働力の確保の目的である。通常は、見ず知らずの他人を理由なく信じさせるよりは、様々な危険もあり得たことを教えることが先決だろう。しかも、おそらく同様の前科がある人間からの接触だったのであれば、少女が身を守るために何に気を付けるべきかがよくわかる格好の事例としか言いようがない。
そもそも、刑法を読まず、辞書も調べない人たちにも広く知られているように、未成年者に対しては、親権者の保護が広く及んでいるため、本当に行き場のない少年・少女を救いたいのであれば、しっかりと法律の枠組みで対応することが不可欠となる。そんなことも考えずにただの「善意」で人助けをしようとする人間が存在するとして、そのような人間に見ず知らずの未成年者を保護できる能力などあるのだろうか。親から単に逃げて、それだけで全てが物事がうまくいくようになると思わせたのであれば、そういった甘言だけでも「誘拐」の騙す行為に当たり得るだろう。
と元増田は言うが、匿われるべき理由がある人がいて、正当な手続きを踏めば、その人が避難できる公的システムは存在している。私的に「匿う」行為を安易に容認すれば、そこに公的な手段でアクセスすることは難しくなるし、実際、保護活動をするNPO等の人たちの何倍もいる卑劣な大人たちの手によって、見えないところで多くの少年少女が食い物にされている現実がある。確かに、公的な手続きは子どもたちにはつらい側面もある(例えば、通常、シェルターや保護施設ではスマホは使えないだろう。また、逃げてきた親なりと一定程度向き合って自分の人生を考える必要もある。)、そういうことを嫌って、公的ルートに乗ろうとせず、零れ落ちていく子もたくさんいる。しかし、それは、その子たちを守るためのやむを得ない面があり、子犬でも拾うように人間を拾ってくれば守ることができると考えるような人間を増やすことで解決できる問題ではないだろう。卑劣な大人たちに食い物にされる子どもを一人でも減らそうと懸命に努力されている人たちの活動を見た上で、元増田の反応はあんまりではないだろうか。