2021-01-20

わすれられない むかしの

はなしだけど きいてくれないか

 

いなかで そだった ぼくは

がっこうを そつぎょうして

おおきな まちで しごとを

みつけたんだ

 

あこがれの ひとりぐらし

りょうりは じしん あるし

しごとも たのしいし

 

むかしは やんちゃしてた ような

でも たよりになる せんぱいも

いたし

 

とても あのころは たのしかったな

 

 

あのひ までは

 

 

じしん が きたんだ

 

すごく おおきな じしん だった

 

さむくて まだ そらが くらくて

ぼくは すっかり ねむって いたんだ

 

そしたら まるで じめんの したを

でんしゃ ぐらい おおきな

だいじゃ か とほうもない はやさで

はしって くるかのような

ぢひびき が したんだ

 

 

どどどどどどどどどどどどどど

 

 

どーーーーーーーーーん!!!

 

 

わんるーむまんしょん は

ゆっさゆさ ゆさぶられて

きのみきのまま とびだすと

よぞらが あかく もえていたんだ

 

せんそう が はじまったのか

ばくだん が おちたの か と

おもうぐらい

 

あちこちから ばくはつおん が

きこえ そこから まっかな ひばしらが

たちあがった

 

ぼく みたいに

いえから はいだした ひとたちが

じしんだ と くちぐちに いうのを

きいて やっと ぼくは なにが

おきたのか りかい できたんだ

 

あのころ

けいたいも ぱそこんも

まだまだ ふきゅう してなくて

ぼくも とうぜん もっていなかった

から どうしたら いいのか

あたまは まっしろ だった

 

そのとき ぼくは おもいだした

 

せんぱいが ちかくに すんでいる

ことを

 

ちかく と いっても

ふつうなら でんしゃ で

いくような きょり なんだけど

 

ぼくは

ひとりぼっちの ぼくは

なんじかんも あるいて

せんぱいの いえに むかったんだ

 

せんぱいは いまにも くずれそうな

じたくから ひっしに かざいを

はこびだしている ところだった

 

せんぱいは ぼくを みつけると

ぶじだったか! よかった! と

 

ぼくも せんぱいに おなじことを

いって ぶじを よろこびあったんだ

 

せんぱいの もっていた らじお で

すこしだけ じょうきょう が

わかってきた

 

とにかく すごい だいじしん らしい

あちこちで かじに なっていること

 

あちこちで たてもの が

たおれ どうろが ふさがれて

いるせいで しょうぼうしゃ も

きゅうきゅうしゃ も これないこと

 

もえている がれきの したに

たくさんの ひとが いきうめに

なっているのに

 

どうろが ふさがっている から

きゅうえんぶっし も おくれるかも

しれない

 

らじお は ひたすら おそろしい

げんじつを たんたんと

はきだしてくる

 

あんに おびえる ぼくに

やがて せんぱいが こういった

 

おまえ にげろ      と

 

おれだって にげたいが

おれは ここで かぞくや いえを

まもらないと いけない

 

おまえは いなかから でてきて

からだ ひとつ

にげれるじゃないか

 

なかに かえれ

こんな がれきの まちに

のこったところで

しごと どころか せいかつも

できないのだから

 

とりあえず なんとか こくどうを

めざすんだ

すこしでも あんぜんな

にし に むかえば

くるま や ばいく が

はしってるから

なんとか のせてもらって

でんしゃ が うごいてる とこまで

 

そしたら そこから なんでもいい

にし に むかう でんしゃ

のりついで

なかに かえれ

 

きっと いまごろ おやが

しんぱい してるから

はやく あんしん させてやれ

 

ぼくは いわれるまま

にげた

 

よしん で ゆれる この まちから

にげだしたんだ

 

そこからは ほんとうに たいへん

だったな

 

はじめて ひっちはいく したし

でんしゃは ほとんど うごいて

ないし

 

まる いちにち いじょう かけて

じっかに たどりついたとき

なみだが でたよ

 

でむかえてくれた おや も

だきついて きそうな ほど

ぼくの かおを みて

よろこんでいたね

 

そのとき ちちおやが いったんだ

 

おまえ しごとは

かいしゃは

どうしたんだ?

 

しごと?

ばかなことを

 

あんな じょうたいで

しごとになるわけ ないじゃないか

 

かいしゃじたい とうかい してるかも

しれないのに

 

それは たしかめたのか?

うかい した と

しごと は ない と

しかめたのか?

 

しばらく じっかに います と

れんらく したのか?

きょか を とったのか?

 

じしんの ときまで しゃちく かよ

 

と ぼくは

あのときの ぼくは おもったけど

 

そのとき かいしゃでは

ひとりぐらしの ぼくを しんぱいして

 

かちょうや かかりちょうが

ずっと ぼくを

さがして くれてたんだ

 

がれきの みちを あるいて

ぐしゃぐしゃになった もぬけのから

わんるーむで

 

がれきを かきわけて

ぼくが たおれて いないか

 

いないと わかると

ちかくの ひじなんじょ を

なんかしょも

さがしていたんだ

 

ちちおやは いった

 

いか おまえは しゃかいじんだから

じぶんが ぶじなら

かいしゃを みにいかねば ならん

 

しごとにならなくても

しごとばの かたづけが ある

 

すくなくとも どんな じょうきょうか

かくにん しなくては いけない

なにもせず だれにも いわず

にげてくるなど もってのほか

 

いまごろ れんらくの とれない

おまえを しんぱい してくれている

かも しれない    と

 

まさに ちちおやの いうとおり

だった わけさ

 

かちょうたちは ゆくえの わからない

ぼくを

にげだした ぼくを

 

しんぱいして くれていたんだ

 

ぼくの いばしょが わかったのは

せんぱいが かいしゃに かおを

だしたときだった

 

かちょうたちが ぼくの はなしを

しているのを きいた せんぱいが

 

あいつなら いなかに かえしましたよと

 

と  ごくきがるに いったのだ

 

それは かなり かいしゃで

もんだいに なったらしい

 

なんの けんげん が あって

おまえは こうはいに しょくむほうき

させたのだ

 

くわしくは わからないけど

 

せんぱいは かいしゃを

やめた

 

もちろん ぼくも

もう もどれる わけが なかった

 

いちばん かいしゃが たいへんな

ときに にげたのだから

 

いいわけする わけじゃないけど

のしゅんかん

ぼくは

にんげんは

 

あらしに ゆれる きのはよりも

ちっぽけな そんざい だったんだ

 

だれだって にげだしたく

なるだろう!?

 

だれだって こわくて しかたない

だろう

!?

 

そうか

あぁ そうか

 

だれだって こわいから こそ

にげちゃ だめ だったのかな

 

せんぱいに いわれたから  とか

これこそ いいわけ だな

 

せんぱい

 

せんぱい

 

ごめんなさい

 

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2016/07/01に「ひとりぼっち惑星」で受け取ったもの

ブログ画像は公開したけれど拡散力はないのでこちらにも。

 

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