芸人やってる。売れてないけど。
適当につながっていくんだけど、その中にいたのがこいつら。
特に絡むわけでもない。
これをデビュー期としよう。
最初はSNSで拡散お願いします!とバカの一つ覚えみたいに告知するしかない。
当然リツイートなんかされない。
しばらくして、YouTubeがバズった。
と言っても数十万再生だが、俺らにとっては露出が増えるチャンスだ。
SNSも徐々にフォロワーが増えて、ファンとの交流も生まれた。
これは成長期としよう。
YouTubeも再生数が増えて、成長期に繋がったファンは喜んでくれた。
中にはライブにも足を運んでくれる人もいた。ありがたい。
やつらのSNSでは俺がしてきた苦労が語られ、そんな俺らが売れてきたのは時代が追いついてきた証拠。自分は最初からわかっていたと書かれているのだ。
「あいつは苦労人」「YouTubeも頑張っていた」そんな投稿が毎日されている。
まぁそこまではいいや。ムカつくけど。
月日が流れて、少しだけテレビに出た。
そのおかげでもっとフォロワー数は増えて、俺は少しばかり報われた気がした。
相変わらず、成長期のファンは露出が増えてきたことを喜んでくれる。
でも、ここで増えた新規のファンにマウントを取り出すのが奴らだった。
「君はなにキッカケ?」「俺は最初期から見てる」などと言い、勝手に間口を狭める。
相変わらず彼らのSNSは饒舌で、俺の苦労を見守ってきた記録が投稿されている。
君たち以外はライブで見かけるけど、俺は君たちを見かけたことがない。
俺にとってはただ存在していた君たちより、YouTubeを見てくれてライブに足を運んでくれるファンの子の方が嬉しい。
そして俺らは芸人だけじゃ食っていけない現実を知り、解散を決めた。
けど、誰よりも声がでかかったのが彼らだ。
「皆見る目なさすぎ」「俺はずっと伸びると思ってた」そんなことを言っている。
そして新規のファンの子達に「もっと早く見つけないのが悪い!」と怒っている。
でもね、一つ言わせて。
早くに見つけて何もしないのと、あとから見つけてお金落としてくれるのだったら、俺は後者をファンと呼びたい。
お前たちは自分に酔いたいだけだ。
あの時渾身のお願いをしたツイート、1つでもRTしてくれたか?
そうじゃないなら、最後まで無関心でいてくれ。
売れなかったのを君たちのせいにするわけではないけど、少しでも協力してくれていれば嬉しかったな。