これはあくまで自分の勝手な推察であり、妄想である。ただし、元ネタになった書籍は存在する。
「もののけ姫」のたたら集団は鬼を表している。あそこで働いている人たちはすべて鬼なのだ。
「鬼に金棒」という諺は聞いたことがあるだろう。なぜ、鬼が金棒を持っているのだろうか。
あるいは、鬼の姿について。鬼は肌が赤く、上半身がはだけていて、しばしば隻眼の姿で描かれている。なぜか?
これは、鉄を打つ鍛冶師を表しているのだ。
製鉄の際、鍛冶師は高熱を帯びた鉄を打つため、身体が赤く灼けてしまう。
また、光る鉄を見つめるため、片目が潰れてしまうこともあるという。
両者にはそうした共通点がある。
では、なぜ鍛冶師が鬼として表されるのか?そこには技術者と権力者の関係が表現されているのだ。
時の権力者にとって、製鉄の技術は喉から手が出るほど欲しい技術だった。それゆえ、鍛冶師は必要な人材、技術者だった。
しかし、権力者が欲しいのは技術だけであって、技術者自体はむしろ厄介な存在だ。自分たちが欲しいものをもってはいるがゆえに、彼らにうかつに手を出せない。
そして、一番の権力者は誰か。「もののけ姫」では「お上」とだけ呼ばれているが、もちろん天皇のことだ。
そこで、天皇を奉る神社は鍛冶師を「人ならざる者」であるとして、鬼の伝承を広めたのだ。
上述のことを頭に入れた上で、もののけ姫を見てみよう。
言うまでもなく、たたら集団はもちろん鉄を打つ者たちの集団である。
そして、そこで働く者たちの一部に病に侵された者たち(障碍者?)がいる。あの時代、障碍者などは厄介者扱いだろう。そんな者たちの居場所は、真っ当な場所にはないはずだ。
一方、ジコ坊は度々「お上」という言葉を口にする。上述したように、これは権力者=天皇のことだ。
鬼の伝承は天皇=普通の人の一番エライ人であり、鬼=人ならざる人という対立構造となっているのだ。
もちろん、宮崎氏自身は上述のようなことは考えていないだろう。だが、鬼の伝承を頭に入れて「もののけ姫」を見ると、またちょっと違った見方もできるのだ。
どこかで鬼の話ー鬼の本をよみとく 奥田継夫
ここから論を展開する導入じゃないんか
わしの知る大江山の鬼に片目はおらんかったと思うのじゃが、ヌシのいう隻眼の鬼とやらは何処の住まいじゃ?
その辺は参考文献の受け売りなので、詳しくは知らない。