2020-11-03

大阪都構想が否決された

都構想が否決された、ある意味ではたしかに良かったかもしれないが、僕は非常に悲しくて、苦しくて、そして失望しかなくて、仕方がない。

最初の都構想の住民投票2015年に行われた。この頃僕は、年齢的な理由でまだ選挙権がなく、ある意味部外者立場からこの住民投票を見ていた。梅田に行った時に投票場前には人々が投票を呼びかけていた。僕はどこか投票できないことが悔しいと思っていたし、投票できる人を羨ましく思っていた。

僕は正直に行って最初の都構想のときは反対派であったし、結果的に都構想は住民意思によって否決されたので良かったと思っていた。(ただ、当時市長責任を取って辞めると発言したときは悲しかったが)

その頃から、僕は誰に呼ばれるでもなく、自分意思東京に向かうことが増えた。最初東京に触れて驚いたのは、何から何までの規模の違いである。東京には人々の活気があった。テレビしかたことのない光景がそこにはあった。そして段々と東京に生まれ育った人たちを羨ましく思うようになった。一時は東京に移り住もうかとも思った。が、現実問題として、その頃僕は大阪大学に通っていたので、とりあえずは大阪で頑張ろうと思った。

しかし、東京に触れる機会が増えるにつれ、大阪東京の差に苦しくなることもあった。とりわけそれを感じたのは人々の熱量の違いでる。例えば、大阪東京とで同じようなイベントが開催されたとき、同じ内容にも関わらず、参加人数が全く違うという事実に驚いた。東京だとすぐに満席になるようなイベントが、大阪では全然まらない。

大阪には東京にはある人間一人ひとりの活気が無いのだ。

東京関西ではない人々からすると、「関西人は常にうるさいし、テレビにも関西出身芸能人が多く出演してるんだし、活気あるじゃん」と思われるかもしれない。まあ確かにそういう意味では活気はあるのかもしれないが、やはり根本として大阪で頑張りたいと思っている人が増えないという問題があるのだ。

大阪市で生まれ育った人ですら、出世などを考えるならば、大阪に留まるんじゃなくて東京に出ていく、関西芸人東京進出するなんてまさにその現象だ。

また、関西周辺の地方出身者ですら、おそらく就職や長い人生を考えるならば、距離的に近い大阪よりも東京で頑張ろうと思う人が大多数だろう。

これは僕が思うに、無駄を楽しめる環境があるかどうかが関係していると思う。

東京は確かに物価が高いかもしれない、大阪地方と比べると生活するには大変かもしれない。ただ、それだけ価値のある無駄がたくさん存在しているのだ。ライブイベントは常にどこかで開催されてるしニッチ専門店もたくさんある。無駄がたくさんあるからその無駄を求める人々が多く集まる。

それに対し、大阪価値のない無駄しかない。価値のない無駄しかいから人々はそれを消費しないし、たまに現れる価値のある無駄に人が集まらないという負のサイクルに入っていると思う。

今の大阪無駄を楽しめない、楽しむ余裕もないという状況なのだ

話を戻すが、都構想否決後の5年の間、大阪維新の会の人々が大阪をより良くしようと頑張っていることは凄く伝わった。それが現れてるのが、大阪メトロのトイレ大改修と中之島公園大阪公園天王寺公園といった公園再開発だ。

なんだ、たかトイレかよ、と思われるかもしれない。しかし、大阪市営地下鉄を利用していた人なら絶対理解できるはずだが、以前の地下鉄トイレは本当に汚かった。本当に引くほど汚かったのだ。それをあれだけ明るくきれいな環境に、しかも一斉に改修したのは本当に凄いことだと思う。

それに加えて公園再開発だ。特に天王寺公園再開発は凄まじい。昔の姿を知っている人がいるならわかるだろうが、確かに昔の天王寺公園大阪らしくはあったのかもしれない。しかし、普通に考えて公園としてはあんなところで子どもなんて遊ばせられないというような雰囲気がそこにはあった。しかし、今の天王寺公園を見れば、コンビニもあるし広い芝生もあるし、あれだけ変わったのは本当に凄いことだと思うのだ。どれだけ維新が嫌いであったとしても、その点に関しては評価せざるを得ないと思う。

景気に関してもなんとかしようとしていたのは確かだ。大阪観光都市にしようという動きがあった。これに関しては否定的な人も多いだろうが、僕はとても嬉しかった。梅田心斎橋を歩けば、様々な国の人達大阪という土地を楽しんでいて、凄く良いなと思えた。

かに大阪維新の会がやった政策すべてを評価できるわけではない。僕はどちらかといえば維新に関しては支持はしていないし、今の市長府知事の考え方も合わない部分が多い。が、たしか大阪の発展のために頑張ろうという気持ちは伝わった。

そして今回の都構想の選挙だ。僕は正直最後まで悩んだ。現状維持で良いのか、それとも結果的に失敗してしまうかもしれないが、未来に賭けるか。大阪という地方を今後どうするべきか本当に悩みに悩んだ。賛成派の意見も調べたし反対派の意見も調べた。

投票日直前にとんでもないスクープ真実がどうなのか結局はっきりとはわからないまま投票日を迎えてしまったが)が報道され、こんな住民投票なかったらどれだけ楽やったやろとさえ思った。

結果的に僕は賛成に票を投じた。そもそもだが、僕は今回の都構想の住民投票コロナ禍ということもあり、なんだかんだ賛成になるんだろうなと思っていた。それに加え、自分の親や親族ほとんど反対派だったし、別に自分の一票なんてそんなに影響力なんてないんだろうとも思っていた。だから正直家族の考えに合わせて反対に投じることも出来た。

ただ、やはりそれではあまりにも賛成派にとっても反対派にとっても無責任すぎる行動だし、今後の大阪が、東京のように無駄を楽しめるような都市になってほしいと思い、きちんと賛成に入れた。

だが結果的には否決された。たった1万票ほどの差だが、否決された。

本当に驚いた。なんだかんだ言って2回目の住民投票なんだし、市民もみんな初回の状況とは違って、維新が良くしてきた部分も見てきてるんだから、賛成多数になるだろうなと思っていた。しか現実は、大阪市民現状維持でいいと判断したのだ。

僕は最初現状維持で良いという市民が多いのなら、まあしょうがいかと納得できた。市長府知事は気の毒だけど、まあ仕方がないなと、大阪市民は現状のままでいいという判断を下した人が多かったんだと。ただ、Twitterでいろいろな人の反応を見ているうちに、「我々は権力に勝ったんだ!民意権力に勝ったんだ!」と誇らしげに語っている自称リベラル勢力が多くいたことに、怒りを覚えた。

僕は以前からこういう自称リベラル勢力はそこまで好きではなかった。彼らは独善的な主張をする事が多いが、確かに政治的に正しいことは言っているし、ある種倫理的にも当たり前のことを主張していると思う。何よりも、僕は保守的な面もあるものの、どちらかといえばリベラル側の人間だと思っていたからだ。

しかし、今回の都構想否決で、まるで鬼の首を取ったかのように喜ぶ彼らの姿を見て、僕はもうそちら側には歩み寄れないなと心の底から思うようになった。

かに、僕は大阪維新の会の人たちのやってきた政策全てに賛同はできないしするつもりもないが、大阪をよりよく発展させたいという気持ちは伝わったし、僕もそれに賭けたいと思った。大阪をより発展させ、東京と並ばないまでも、価値のある無駄が増えて楽しめるような、大阪に住んで本当によかったと、大阪に長く住みたいと思える人々を増やすには、やはり現状維持じゃダメだと思ったし感じていた。

それが今回また崩れ去った。崩れ去っただけならまだしも、嫌味な言い方にはなるが、それを自分たちが無知市民啓蒙したおかげだと自称リベラル勢力は主張したのだ。

彼らは大阪の発展なんて心底どうでもいいのだ。彼らにあるのは『反権力』、ただそれだけなのだ。『反権力』と主張できれば、地方問題なんてまったくもってどうでもいいのだ。

なによりも悲しいのは、こういう主張をする人々が、自分と同世代に、大量に、そこそこ著名で、しかも、一方的にだが、仲間だと思っていた人たちが、正しいことを主張しておきながら、賛成派に対してはある種敵だみたいな態度だったという事実に苦しくなった。

彼らはTwitter上では反トランプだの、反差別だの、女性の権利だの、反権力だの、あたか自分政治的に正しい考えを持っていますかのような振る舞いをしておきながら、自分たちに本当に一番関わってくるはずの日本の今後の問題に関してはまったくもって関心がなく、関心がないならまだしも、むしろ発展や変化を一番拒んでいる人々であったというのが衝撃だったし、悲しかった。

彼らは日本の今後や地方の発展なんてどうでもいいのだ。あるのは正義の名のもとにおける肥大しきったナルシシズムと反○○、ただそれだけなのだ

以前から彼らとは深いところで考え方が合わないなと思っていたが、今回でそれは決定的だなと感じてしまった。

長々と読みづらい文章を書いてしまったが、僕は別に反対に投票した人たちに怒っている訳ではない。大阪のことを思って反対に入れた人々のことは理解できるし、大阪市を解体するというのはやっぱりめちゃくちゃ不安だと思う。僕だって最後まで反対に入れるか迷ったし、たとえ今回賛成多数で可決されたとしても不安だったに違いない。

ただ、今回の住民投票で僕が一番悔しいのは、都構想が否決されたことよりも自称リベラル勢力が喜ぶような経験をさせてしまたこと、そして彼らは地方の発展なんて心の底ではどうでもいいと思っているということだ。

彼らは今後、この成功体験を糧に彼らが考える正義を人々に押し付けてくるだろう。それが個人的には怖い。

トランプ当選時に隠れトランプ支持者が大勢いたという報道があったが、今回の都構想周りを見ていると、そういう隠れ支持層は今後も増えていくだろうなと思う。

そして自称リベラル勢力は過剰に分断を嘆くのだ。「権力者が権力を振りかざすから人々が分断してしまうんだ!責任を取れ!」と。

本当に分断を起こしているのはどちらなのかきちんと理解したほうがいい。今回の都構想の住民投票で分断なんて本当は起きていないのだ。賛成派も反対派も、本来目標大阪の今後についてであり、その道中をどうするか、現状維持でいくのか改革をするのかというのが、今回の都構想で問われた内容だったと思う。

そこには本当は分断なんて起きていなかったのだ。だが彼らは主張するのだ、「都構想の住民投票を行うこと、それそのものが分断だったんだ!」と。

大阪ですら変われなかったのに日本を変えようなんて考えは、本当に傲慢だと、自称リベラル勢力理解したほうが良いと思う。

大阪は今後も何も変わらないだろう、変わらないまま一地方と今後も存在し続け、僕もそこで生きていく。

本当は僕も東京に行きたいよ、でも僕にはその度胸がないんだ。

  • イイね

  • 大阪が都になったのを見たいよ〜 なんだかんだ外国の人にとっては 大阪=日本 だし (東京都民)

  • 反対に投じた人を発展を拒む『反権力』のリベラル勢力と決めつけているので、あなたは分断を起こしているのでは?

  • 大阪と東京の「価値ある無駄」の違いは人口の差でしかないぞ。ニッチ市場でも人口が多ければ人が集まるからな。制度や環境は関係ない

  • 自分は大阪、とくに反対地域のおおかったミナミ住まいだが いまの維新がなにかをまかせるに足る知能を有してるとはこの数年まったく思えなかった イソジン吉村がトドメだったと思う...

  • 自分は大阪、とくに反対地域のおおかったミナミ住まいだが いまの維新がなにかをまかせるに足る知能を有してるとはこの数年まったく思えなかった イソジン吉村がトドメだったと思う...

    • 日本でまともな知能がある人間が政治家を続けられた実例があるなら教えて欲しい 政治家に一定以上の知性を期待するべきではない

  • "都構想は初期費用で約560億円、運用費用や人件費を含め約1500億円かかる。" "一方で、二重行政の廃止自体で生み出される財政効果は全体で4000万円しかなく、大阪市(特別区)において...

  • 維新の行政上の功績は認める事と、 大阪都構想(政令指定都市の解除)は認める事は完全に別軸の話。 お前みたいにコト軸で物を考えずにヒト・組織で考えるやつが大阪にいるから危険な...

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