2020-10-20

もしかしてお米に寄生されてるんじゃない?

お昼頃に自転車を漕いでいる途中、歩道カマキリを見かけた。

両手のカマを振り上げて、前後に体を揺らしていた。

すると、おもむろに片側1車線の車道にゆらゆらと飛び込んでいったのだ。

「なんで?」と思った。カマキリ道路を横断するメリットはないからだ。この県道渡り切ったとしても、その先はコンビニ駐車場であり、緑は一切ない。なのにどうして?

ドーキンスの『利己的な遺伝子』を読んだばかりだった。こんなに阿呆な子の遺伝子が生き残っているとは思えなかった。突然変異というやつかな?

……カマキリが片側の1車線を渡り切った。残るは反対車線だ。頑張れ!

軽自動車ココアに、20tトラックに、プリウスに、フォルクスワーゲンに、野良犬に、ビッグスクーターに、なんかもう色々と車が通り過ぎる度に、カマキリの体が風に揺られていた。

頑張れ。あともうちょっと。残りは4分の1。

「危ない、轢かれる!」

と思っても、大乗仏教なことが多かった。目の錯覚というやつで、轢かれる!と思っても、カマキリの頭を掠めるほどで済んでいる。そういうものなんだと思って、自転車に跨ったまま、ずっとその子を見ていた。

白い軽自動車カマキリに迫っていた。尻尾の真後ろを通過すると思った軽自動車タイヤは、私が思い描いたとおりの軌跡を描いていた。

カマキリの真後ろをサッと通り抜けると思ったら、プジャアッ‼ という鈍い音とともに――ヤツは弾け飛んだ。轢かれるコースだった。

こんなに音がするんだと思った。カマキリ自動車に潰されても音はしないものだと思っていた。大きい音だった。

にゅるにゅると、カマキリお腹の辺りで何かが蠢いている。黒い色で、びよびよとうねりながらアスファルトの上にいた。

生きてるヤツは初めて見た。かの有名なハリガネムシだった。実物はかなり長い。15cmはある。

悲しげな動きでハリガネムシはのたうっていた。たぶん、もう死ぬだろう。路上を移動する能力はないし、そのうち車が通ってぺしゃんこになるんだろう。

離れたくはないが、見ていたくもない。T-BOLANの歌詞を思い出した。多分違う。自転車を漕ぎ始めた。

家に帰ってググった。

ハリガネムシカマキリ寄生すると、宿主認識回路を変えるらしい。光を好むようになる。

自然が豊かなところで寄生されたカマキリは、水面のきらきらとした反射に飛び込んで自殺する。すると、お腹の中から本来は水棲であるハリガネムシが出てきて水の世界に帰るのでした。めでたしめでたし

そういえば、車両の反射板って太陽光でも輝くのだろうか? だとしたら、寄生を受けたカマキリの行動にも説明がつく。



ある夜、イトメンチャンポンめんを食べている時だった。

今日炭水化物をたくさん食べたな、太ったら嫌だなと考えていた時、閃いた。

炭水化物って、もしかして人類寄生しているのでは?

私の家はお米を作っている。毎年、干からびた水田を耕して、用水路から水を入れて、農協から苗床を買って、トラクターに苗を乗せて田んぼに植えて、水を入れたり抜いたりを繰り返して、時期が来たら収穫して、トースで引いて、30kgぐらいの袋に詰めて出荷する。

収穫された稲は全滅ということになるけど、世の中には収穫されない稲も一部あって、次世代の苗として育てられる。人類が生き残ってる限り、お米がこの世から消えることはない。

お米は、育てられて食べられてを繰り返すことになるけど、種が絶える可能性は低い。人類滅亡後に種が絶える可能性はあるけど、まだ千年は大丈夫だ。

お米に寄生されているお陰で、人類はいい思いをしている。

炭水化物はおいしい。白米や玄米は大抵のおかずに合うし、乾麺には脂ぎったスープの味がよく染み込むし、ケーキ病みつきになる甘さだし、お陰で人類生存が有利に働いている。

カマキリみたいに一方的に利用されてるんじゃなくて、むしろ人類が利用している側なんじゃ? だって、どれだけ炭水化物を食べても直接的に死ぬわけじゃないし。

自分でも何が言いたいのかわからなくなってきたので、この辺りで終わりにする。学生戯言を読んでくれてありがとうイトメンチャンポンめんは是非おススメしたい。

この作品をffrog氏に捧げます。いつもブックマークありがとう

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