2020-10-16

展覧会企画のことで、女友達ケンカした

友達の仮名は雰囲気が似ている芸能人からつけてみた。フェイクも多いよ。

 

私:30歳女。地方の中堅四大卒。就職を機に上京。給与は高くないが、正社員でITベンチャーの人事職。3年付き合った彼氏と別れて半年だが、デートできる男友達は複数いる。

リホ:30歳女。語学の授業で知り合った、大学時代からの友人。大学では美術サークル。新卒の会社は半年でクビになり、そこから1年の留学ののち、仕事を8つほど転々としており現在はチェーン店ファミレスのアルバイト。2年前にマッチングアプリで出会ったイタリア人と、昨年結婚。

アミ:30歳女。社会人1年目にアート関係のオフ会で知り合う。短大卒業後に美術系の専門学校も出ており、会社勤めを経て独立。起業して6年目の経営者で事業は順調。マッチングアプリや合コンなど婚活も頑張っているが、付き合った人たちとはいずれも短期間で別れており、今は誰とも付き合っていない。

 

「今度みんなで展覧会やらない?」リホからそう言われたのは先月のことだった。

大学の同級生のリホとは10年の付き合いになるが、学生時代よりも、5年前にリホが上京してきてからのほうが遊ぶ頻度は増えていた。

リホはいろんな企画を立ち上げるもののややルーズで適当、そのくせ変なところでプライドが高く突っ走る部分があり辟易することも多いが、リホが教えてくれるカフェやお店はだいたいセンスがいいので満足度は高い。それに、家にこもりがちな私をあちこちに誘ってくれるのは悪い気はしなかった。

「増田のほかに、大学時代のサークル仲間や、アミにも声かけてるんだけど」

リホは言う。

4年前、私が社会人になってからの友達のアミをリホに紹介したら、二人はとても仲良くなった。やがて私抜きで遊んだり、リホの旦那さんの友達をアミに紹介したりもしているようだ。

 

美術系のサークルや学校にこそ行かなかったが、私も絵を描くのは好きだった。友達の個展やグループ展に行くことはあったが、自分が何かを作って出展する側になることはなかった。

「いいね。展覧会面白そう」私は答える。

月曜の夜、LINEグループが作成された。私とリホと、知らない人2人の4人グループだ。知らない2人はおそらく、リホの学生時代の美術サークルの仲間だろう。

リホは、「皆さんご参加ありがとうございます。まずは会場を決めたいと思います」と書き、候補をたくさん上げだした。

「長期間の展示向きのギャラリー

①◯◯ ここは会場がレトロで広め。

②◎◎ ここはカフェのスペースの一画に展示をする感じ。

③△△ ここは立地がおしゃれ。」

「土日開催向きのギャラリー

①●● 古民家を丸々借りれる。

②◻︎◻︎ 駅から近くてアクセスも便利。」

という具合に。全部で10件はあっただろうか。

これらはリホの知っているところなのかとグループLINE内で訊いてみると、リホは別にこれらのギャラリーに行ったことがあるわけではなく、ギャラリー検索サイトでリストアップしたとのことだった。

 

「まずは皆さん、長期間展示をしたいか土日がいいかどちらか希望を書いてください」とリホは翌朝、LINEグループに投げた。

私は、かつてほかの友人が行っていた展示をイメージしながら、「『木、金、土、日』か、『金、土、日、月』の4日間くらいがいいと思う」とグループLINEに投げた。するとリホから反応が。

「AかBかという質問にCと返すとみんな困ってしまうので、そういうのはやめてほしいかな」

リホは続ける。

「私はたくさんの人に長い期間観てもらいたいので、長期を希望します。カフェでの展示がいいな」と。

それに対して私は、「うーん、私はカフェでの展示は興味ないかも……」とグループに投げた。私は、カフェの添え物として絵を飾ってもらうことではなく、あくまでも自分たちが主役の、ギャラリーでのグループ展に興味があったのだ。

 

その日の夜、リホから電話があった。

「ちょっといい? LINEグループでなんであんな言い方するの? カフェでの展示は嫌だとか、長期か短期がいいか聞いてるのに別の答え返したりとか。あのあと、グループLINEのほかの2人にも個別にLINE送って訊いてみたんだけど、増田がズレたこと書いてるから意見を言い出しにくかったけどみんな長期の展示がいいって」と。

 

私は反論した。

「ちょっとまってよ、ほかの人が意見を言わなかったのが私のせいなの? 誰も何も意見を言ってないから私が意見を出したのに。それに、ズレた返答って言われても、そもそもなんで長期か土日かの2択しかないの? みんな平等にお金を出し合って展示をするんだから、リホだけが仕切るのはおかしいよ」

 

リホは反論する。

「カフェでの展示は嫌っていうのもさ、言い方あるじゃん。否定的な意見だけ言いっぱなしにしないでよ。意見があるのはわかったから、空気読んでよ」

 

私は言う。

「あのLINEグループ、リホ以外は誰も何も発言してなかったじゃん。だからせめて私だけでもと思って、意見を言ったんだけど。それに、意見を言い出せなかったっていうけど、そもそも今回のメンバーみんなのこと知ってるのはリホだけなんだからさ、いきなり意見を求めるんじゃなくて自己紹介する流れを作るとか、まずはZOOMでWebミーティングを設定するとか、やり方があるじゃん」

 

リホは言う。

「増田さぁ、自分の意見があるのはいいと思うよ。私だって好き嫌いははっきり言うほうだし。でもタイミングってあるじゃん。否定的なことも、言い方があるじゃん」

 

私は言う。

「『興味ないかも』って、だいぶ控えめな言い方だったと思うよ? カフェでの展示が嫌な理由とか、訊かれてないのにいちいち説明するほうが空気読めないと思うよ。そりゃ、『カフェでの展示よりはギャラリーがいいな』みたいな言い方でもよかったかもしれないけど、それだと、カフェでの展示なら私の参加モチベーションは高くないってこと、リホには通じないかもしれないし」

 

リホは言う。

「そんなことないでしょ。増田さぁ……アミから指摘受けたりしてない? 増田はちょっと空気読めないところがあるよねって、アミも前に言ってたことあるんだよ」

 

私は驚く。

「えっ、それを言うならリホのほうが……私、去年ケンカしたとき、リホはほかの友達ともトラブってたってアミから聞いたんだけど。ほら去年、私がイベントに『楽しそうだね』って言ったのを、リホは参加表明だと捉えてトラブったことあったじゃん」

 

 

実はリホとは、去年もモメたことがある。

去年の8月上旬、リホから「来月、シェアスペース借りてたこ焼きパーティーするんだけど増田にも来てほしい!」という誘いがあった。「9/7か9/14を予定してるんだけど、どうかな?」と言われたので「楽しそうだね。7日ならあいてる」と返事。そこからしばらくは、たこ焼きパーティーについての詳細の連絡はなかった。

それから8月末になり、リホから改めてたこ焼きパーティーの招待が来たが、9/7は別の友人主催のイベントがあることもわかり、そちらのほうが魅力的だった。そのため、ほかの予定があるからということでたこ焼きパーティーには行かない旨を告げた。

リホは怒った。

「ちょっと、それひどくない? 増田が7日なら来れるって言うから7日にしたんだよ。それなのに別の予定があるっていうのは無責任じゃない?」と。

私としては、そもそもたこ焼きパーティーにはきちんと参加表明をしたつもりはなかった。「楽しそうだね」とは言ったけど、どこで何時からで参加費はいくらなのか聞いてない状態での「楽しそうだね」は、あくまでも社交辞令混じりの感想であり、参加表明として捉えないで欲しかった。

 

その、たこ焼きパーティーのケンカから2週間ほどした頃、アミと二人でランチをする機会があった。

「リホから聞いたんだけど、増田とちょっと揉めちゃったんだってね。失礼なこと言っちゃったかも、って、リホは反省してたよ」と。

そしてアミは「じつは私、ほかの友達とも、リホが同じようなことでトラブった相談を聞いたことがあるんだ。リホはちょっと自分勝手というか、突っ走っちゃうところがあるよね」と。

私はリホにややうんざりする部分も感じていたが、アミはあまり気にしていないようだ。「女の子は、気分でちょっと突っ走っちゃうときってあるよね。そこは仕方ないかなって思うから私は別にリホに腹は立たないし、私にとっては増田もリホも、それぞれ素敵なところのある大事な友達だもの」と。

 

 

〜〜時系列は、ここで今週火曜の電話越しのケンカの段階に戻る。

 

ほかにもごちゃごちゃと揉めたあと、リホは呆れながら言った。

「もうさぁ、とりあえず、アミと3人でまたお茶でもしようよ。そのときにまた続きは話そう」と。

私は「えっ、今回の展示、アミは関係なくない?」と答える。

リホは「そうだけど。だからこそ第三者を挟んだほうがいいというか」というので、「誰が悪いか、の裁判みたくなるのは簡便だけど、3人で話すのは別にいいよ」と言った。

 

結局お茶するのではなく、今週の日曜朝に3人でZOOMで話すことになった。どうなることやら……。

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