2020-09-13

親の願望を「真実」だと思っていた話

自分は、親の言うことをよく聞く「いい子」だったし、親の言うことこそが真実と思って育った。

母が「○○(筆者の名前)は算数が好きだからね」と言えば、成績は悪くなかったこともあり、そうなのかと納得した。

母が「○○はコツコツ努力できる子」と評すれば、やはり納得し、他人の目にそう映るように行動した。

母が、「○○はお父さんを尊敬してるもんね」と言えば、「尊敬する人」の欄には「父」と記入した。

母ばかりなのは、父とはそんなに喋った記憶がないからだ。いつどこで不機嫌スイッチが入るのかわからず、怒らせたくなかった。

しかし、高校進学を機に親元を離れて、うっすら覚えていた違和感の正体に気づき始める。

自分算数/数学が嫌いだ。というか数字全般苦手だ。

自分全然努力家なんかじゃない。どうにか楽して生きたいし、暇さえあればゲームばかりしていた。勉強も正直そんなに好きじゃないから、テストの類いはコツコツ勉強どころかほぼ一夜漬けで挑んだ。

父のことも別に尊敬してない。見習うべき点はあるかと思うが、それは「尊敬」という感情ではない。

なんのことはない、母は子どものことを理解したうえで言っていたのではなく、「こういう子であってほしい」という願望を言い聞かせていたに過ぎなかった。そして、自分はその通りになるように振る舞っていたので、母の願望は「真実」になった。それだけの話だったのだ。

そう気づいた後でも、自分は親に対する態度を変えることはなかった。高校大学時代経済的に親に依存していたので、今までの従順子どもから急に方向転換するのはためらわれた。

社会人になり、経済的に完全に自立したところで考え方を改めた。

よっぽどのことがない限り、親には頼らないことにした。その代わり、親の顔色をうかがったり、言うことに無条件で従ったりするようなこともしない。

こうして書くと当たり前の話に聞こえるが、当時はそれができていないように感じていた。自分は親離れするので、親にも子離れしてほしかった。

最近ちょっとした揉め事があった。

自分が、新卒就職したところを辞めて転職したのだ。親には転職相談は一切しなかったが、引っ越しもするし報告しておくか、くらいの気持ちで事後報告をした。

しばらくして、母から返信が来た。曰く、父がひどく怒っていると。

数日後に父本人からも長文メールが届いた。まとめると、「そんな大事なことを、なぜ転職を決める前に親に相談しなかったのか」と怒っていた。

母にも苦言を呈され、お父さんがこの調子では最悪離縁すると言い出すかも……というようなことを言われた。

どうも、

子どもは、大事なことは必ず親に報告するものである

というのと、

就職(転職)は人生における重大イベントである

というのは、両親にとっての「真実」(願望)だったようだ。

彼らの連絡を受けて頭に血がのぼった自分は、二人に長文メールを返した。まとめると、「あなたたち二人は子離れできていないのではないか」という内容で。

以降、お互いに連絡もしてないし、帰省もしていない。

今思えば、上で書いたような「支援は仰がないけど言うことも聞かないよ」というスタンスを明確に親に伝えていれば、ここまではこじれなかったかもしれない。後悔しても遅いが。

つくづく、コミュニケーション不足な親子なのだと今になって実感している。

(オチはない)

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