私は2歳の娘を持つ母親だ。性自認は女性。そして、小学生の頃からずっと女の子のマンガ絵を描いてきて、今では萌え絵に分類される絵を描いている。
私が萌え絵を描く理由、それは自分の中の可愛いと思う気持ちを表現したいからだ。お金のためじゃないし、誰かに強要されているからでもないし、誰かに褒められているからでもない。
ただ、その可愛いという気持ちの中に性的なものが含まれていないのかと言われると自信がない。女の子の腰回りを描くのが好きだという自覚はあるが、それが性的な視点でないのかと言われると自分でもわからないのだ。
そして、萌え絵に性的加害性があると言われるともっとわからなくなる。私自身は思春期にPS版のTo HeartやDC版のKanonなどに親しんだ人間で、萌え絵に積極的に触れる思春期を過ごしたが、それが私に何か加害したかと言われると心当たりがない。むしろ萌え絵に多大な影響を受けながら絵を描いていた。
しかし、これはあくまで私の場合で萌え絵に加害された思春期を過ごした人もいるのかもしれない。
そんな中で、娘が生まれてもなお萌え絵を描き続けている自分はなんなのだろう?このまま娘が育っていくといつか「あなたの描く絵がキモい」と言われる日がやってくるかもしれないのに。そんな日が来たとして、私は萌え絵を描くのをやめるのだろうか?と考えるが、それでもやめないとは思う。
正直、子供が生まれる前はきっと生まれたら絵を描くのをやめると思っていたが、実際に生まれて見ると別に創作意欲が下がるということは全くなかったことに自分でも驚いている。だから、たとえ娘からでも「キモい」と言われた程度ではもうやめることはないだろう。
一方で、私の好きが誰かの気持ち悪いであるというのはきっと事実なのだろう。私も気持ち悪いと思うものがあるが、それを好きな人のことも知っているので安易に気持ち悪いと言うのは避けているからだ。
キモいと性的加害性があるというのは必ずしもイコールではないが、今でも誰かに気持ち悪いと思われているであろうことを自覚しながら絵を描いているのと同じように、誰かを性的に傷つけていることがあったとしても絵を描くことをやめないかもしれない。発表する場を考えることはあるだろうけど。
だって、好きなものを好きなように描いている間は本当に楽しくて、ほかの人のことなんて頭からみんな追い出してしまうのだから。