2020-08-27

生理が軽いブスの参性権

ロリエCM炎上してるなと思ってたら自分にも生理が来た。

自分生理は非常に軽い方だと思う。

なんか痛いときもあるけど、どちらかというと来てることを忘れてナプキンを持っておらず焦ることの方が多い。

初潮も人よりかなり遅かったし、今のところはそういう人間らしい。

ひとしきり燃えてるのをツイッターで眺めてた。

生理はこんなに辛い、理解のない生理軽い奴と男はクソという投稿で溢れていて

それはそうなんだろうと思ったが、どれだけ殺意を向けられようが理解できないもんはできない。ないんだから

他人の痛みは想像してはならない。しか理解不能なものとして突き放してもならない。

マイノリティに対してマジョリティは、常にその間を揺れ動き続けることを求められてきた。

人類ほとんどはヘーゲルではないので弁証法熟達しておらず、

大抵の人間にとってそれはブランコに乗り続けるように退屈で行き場のない行為だ。

多くのマジョリティが極論に走ったり目を背けたりするのもそれが原因だろう。人生他人のためにブランコを漕ぎ続けられるほど長くはない。

生理が重い女性たち、それが原因で人生が上手くいかず苦しむ女性たちの投稿を眺めながら

私は疎外感とわずかな羨望を覚えている。「女」を生きられていいですね。

私はブスだ。おっさん美人に「ブスも個性」と言われたら多分口から毒ガスを吐こうとして

そのような超自然的な力がないことに気付き口を大きく開けたまま曖昧な笑みを浮かべてその場を去るだろう。

から生理個性」が許しがたいのであろうことも類推はできるのだ。

だが理解はできない。だって「ブス」と「生理」のあいだには大きな隔たりがある。

ブスは連帯できないが、生理連帯できる。

「女であること」は連帯できるが、「女でないこと」は連帯できない。

(いや真面目な人が出てきたら「ルッキズムに縛られている」とか「女性を美醜で判断することは」云々とかいうかもしれないが、

私には男女を超えて自分のチー牛顔面は凡愚という概念の具現化にしか見えない。

見た目は化粧と努力でどうにかなるという人はあのチー牛のイラストのどの辺をどう弄れば美人になるのかイラスト掲載して教えてほしい)

「女であること」を中心に凝集しようとする動きは常にあるし最近も目立つが、うるせえなみんな失せろと思う。

そこに自分の女らしさをどこにも見つけられない、しかし女であることに憧れ続ける人間の居場所はない。

生理が軽い奴は重い奴を生きづらくするな、黙っていろと言われるとその通りですねと思うけれど、

そういう主張を目にするたび、私は自分を女として主張する権利「参性権」がないのだ、というルサンチマンが溜まっていっていることは吐き出したいのだ。

マイノリティでなければ発言してはならない。マイノリティの痛みをかすめ取ってはならない。

それはブスというマイノリティ身分からしてはその通りだ。しかし今、女性マイノリティ性に憧れる人間として見れば、

「お前は永遠に我々に同化してはならない」という呪いである女性であるためには烙印を背負わなければならず、烙印を持てなかった人間はさりとて男でもなく永遠に口をふさがれ続けなければならない。何も得していない。

じゃあ生理痛よ来い、って思うべきなんだろうか。いやそれは嫌だわ。痛いの嫌いだし。生理痛が軽かったおかげで割と人生上手くいってきたのは否めないし。

彼氏はいたことねえけどな。

丸い感じの一般論にまとめれば、烙印を中心に凝集するありかたは別のマイノリティを生むのだ、という当たり前のことだ。

まあただ、結局誰の胸にもルサンチマンはあり、誰もが何かしらのマイノリティであり

他人のためにブランコを漕ぎ続けられない以上、この世界はこのままなのだろう。というかこのままであってほしいと思う。

生きているうちに女性権利、あるいは男性でも女性でもない人の権利、などなどはどんどん向上していくだろうが、

女性」「男性」「トランス」などというカテゴリ消滅し、人間人間になる世界はたぶんまだ来ない。多分今後十年の動きは逆だと思う。

十年間、私は言葉を奪われたチー牛または凡愚以外の何物でもない奴として勝手に揺れるブランコを眺め続けるだろう。

あるいは宇宙人がやってきて全人類をひとしなみに一瞬のうちに肉塊に変え、

その知能を統合して巨大データベースに変え、宙の彼方に持ち帰る未来があれば話は別かもしれない。

我々には個というものがなくなるが、しかし分解された個々の思い出や要素が個として独立し、ネットワークの間を自由に交歓するのだ。

そうすれば私のルサンチマンもいつか他者の痛みと溶け合い一つになるだろう。

地球に残された、人間だったものの肉から流れる血の海は、

たかも七十数億人が身体を引き裂かれる生理痛と共に、一斉に月経を迎えた光景のように見えるだろう。

ああ、つまらない。

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