これが間違いの始まりだった。
練習できるのは3年生だけだった。
1~2年は球拾い専門。
コートをぐるりと囲んで、飛んでくる球を回収するだけの雑用係。
拾うボールは飛び交っているのだが、球拾い要員の人数が多く(30人近く)、手持ち無沙汰。
明らかな過剰スペック。
ほぼ棒立ちの状態。
たまに飛んできたボールを、トスして回していたら「真面目にやれ!」と一喝された。
練習の最後は決まって、アタックを拾うレシーブの練習が行われる。
球拾いが最も忙しくなる時間でもある。
「早く終わってくれ・・・・」これが1,2年の共通した願いだった。
練習の末期が近づいたと安堵を感じる。
しかし顧問は力任せに思いっきりアタックするため、誰も取れない。
そんなこんなで、「ラスト」は永遠と思えるくらいに伸びに延び、他部活の生徒が完全に帰り、外が真っ暗になった頃に終焉を迎えるのが日常だった。
これが毎日続いた。
月火水木金土日。
平日は16時~19時までの3時間。
土日は弁当持参で丸一日。
問答無用で球拾いだった。
朝6時に起きてランニングして球拾い。
昼ご飯を食べて球拾い。
夜は9時まで球拾い。
1年の秋。
3年生は泣いていた。
でもボレは何とも思わなかった。
感情移入できなかった。
「早く帰りたい」と言う思いしかなかった。
しかし「来年は絶対に勝つぞぉ!!!」という顧問の一言で、その日は夜遅くまで球拾いさせられた。。
3年生が引退し。
2年生が練習できるようになった。
長きにわたり耐え抜いた彼らの顔は、とても生き生きしていた・・・
しかも球拾い要員の数が少なくなったこともあり、ボーっとしていると目立つようになった。
気の抜けた顔で突っ立っていると「やる気だせやぁぁぁああ!!!」、と横からボールを顔面に投げつけられた。
鼓膜が破れたかと思った。
それでも行く気になれなかった。
2年になるころには、全く行かなくなった。
同じような脱落者が何人もいた。
そしてボレ達は3年生になり。
2年間球拾いに耐え続けた英雄達(同期)は、試合で1度も勝つことなく、部活動を終えたと聞いた。
思い返せば。
ボレの人生は、あのバレーボール部の入部で歯車が狂いだしたように思う。
そして2020年。
家賃も払えず、来月末には退去を迫られている。
それでもボレは、文句も言わずただ粛々と生き続けようと思っている。
そう。
や、これはブクマ2usersくらいまでは伸びて欲しいかな個人的には。。 ボレって、なあにって感じはするけどまあ2users、いかないか。。 しかし30年前のことこんな鮮明に思い出せるものな...
ブラック部活の体験談としては参考になったけど、ロスジェネ世代関係ないよね? 団塊世代・しらけ世代・バブル世代でもブラック部活はあったはずだ。
ブラック部活の問題は、容姿や生徒のポジションでスタメンが決められるようなところがあったこと。 先生も自分がかわいがっている生徒を入れたがるので、潜在的な才能とか試す瞬間...
参加必須といいつつ脱落して行かなくてもいいなら最初から入んなくてもいいじゃんと今になったら思うだろうけど 中学とかいうおかしい組織にいる内はどうにもならんのよね……
当時の中学は部活動に参加必須だった。 その中でバレーボールを選んでしまった。 ここはオレといっしょだな。オレはロスジェネじゃなくて、バブルの一歩手前くらいの、就職楽々...