2020-08-10

あなたにもお友達必要と思って」

そう言われて、友達文字通り一人もいない私の前に連れて来られた彼女

小学生の話じゃなくて、成人済みの人間同士の話。

一体これはどういう事なんだと驚く私のところに、彼女は来てくれるようになった。

しかし、そこは友達ゼロの私。悲しいかな、彼女差し出せるものは、苦痛の他に何一つ無かった。

だが、「お友達」になる役目を果たそうと彼女努力を続けた。毎週毎週、何年も。

一方で私は、会えば必ず、抱える苦痛ボトボトとこぼして広げる他には何も脳が無い。

彼女は、私の代わりに私の苦痛を背負っていった。ただただ頷いて微笑んで、時に、控えめな慰めの言葉で。

代わりに背負っても背負っても、次々に私から溢れる苦痛はよくもまあ、底なしに尽きなかった。

ちなみに、内容は物凄く下らなくてどうしようも無い。みんなご存知ですけどね。

当然、これが「お友達」になれるとは到底思えなかった。彼女けが自己犠牲を強いられているから。

「お友達」になるための努力を重ね続ける彼女に引け目を感じて、私は自分の中に苦痛を更に生み出していた。

螺旋を辿る繰り返しの年月。

気づいたら、私も、別の女性が背負う苦痛に肩を貸すようになっていた。

彼女がどうやって、私の肩を軽くしてくれてきたのか、記憶感情を辿りながら。

相手を思いやり、観察して察して、その荷を軽くしてあげたりは出来ない。

私がやってるのは、ただ、目の前に降ろされた重荷だけを一緒に背負って行く真似だけ。

友達の真似事に一歩近づけただろうか。彼女が何年も見せてくれたお手本を思い出しながら。

彼女と私のゴミ箱修行しかし、メンタルは全く違っていて、それは真似られない。

もう恐れる必要も無い。抱える苦痛に打ちのめされる必要もない。

苦痛に苦しむのなら、私も慰めて背負える気がする。

共有する喜びがない、溢れ出る苦痛しかない、下層民な私を救うのにピッタリな

彼女のお友達任務レッスン。それでも暗い谷間の中で、とても救われた。

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