2020-08-04

四ヶ月ぶりに福中に会うことになった。待ち合わせ場所に着くと福中はどうよ最近、と挨拶をするもんだから、どうもこうもないよこの状況じゃ、なんて返すと仕事が大変だと愚痴を言ってきた。それは俺に対する当てつけかと思ったが昔から何か考えているようで何も考えていない奴なので、多分何も考えずに言ったのだろう。自分からバイトの話を出すのも癪なので俺は黙って福中の話を聞いていた。

コロナ仕事が減ってるから最近金回り厳しくってさー」

「俺にたかっても何もないぞ」

「知ってるよ。ところでおまえ最近何してるの」

バイトしてるよ」

バイトかー」

妙な沈黙が流れたあと、バイト先には高校生かいるの?とか聞いてきた。本当に何も考えていない奴だなと思って、一言、いないよ、と返すと、今は学校もやってないもんなー、と頓珍漢な事を言ってきた。コロナのことを言っているのか、夏休みのことを言っているのか、分からなかった。

しばらく当てもなく歩いていると、向かいから高校生が手に小さい扇風機をもって歩いてきた。あれでさ、コロナを吹き飛ばせないかな。福中はやっぱり何も考えていないのだと思う。どうせなら俺の現状を吹き飛ばしてほしい。吹き飛ばした先に何があるのか分からないが、きっと少しは気が晴れるだろうと思った。その時、吉永さんと会ったコンビニと同じチェーン店が目に入って、やっぱりこのままでも良いかな、と彼女の目を細める笑い方を思い出しながら思った。

結局、福中とはラーメンを食って別れた。ラーメン炭酸が効いて結構うまかった。福中が意外に甘いと言ってたが、もっと甘くてもいいと思った。現実と同じで。

  • ラーメンは炭酸が効いて結構うまかった。 オメガラーメンだ

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