2020-07-31

母の地雷

母親ものすごい勢いで部屋を訪ねてきた。

かに怒っているみたいなんだけど、状況がさっぱり分からない。頭に血が全部いってしまっているみたいで、とにかく怒っていることしかからない。

よくよく聞いていたら、テレビ名字いじりが逆鱗に触れたらしく、番組に苦情を入れたいようだと分かった。


母は名字いじりを嫌がる。

もうシニアになるのだが、家族で一番過敏に反応する。


小学生の時にクラスメイトだけでなく教師にもいじられて、散々だったらしい。にもかかわらず、母は同じ名字の父と結婚している。絶対に違う名字の人と結婚すると決意していただけに、自分でも驚いたらしい。

そんな一家に生まれた私は同じように名字でいじられた。

私が大人になった今、母はぽつぽつ昔のことを話してくれる。それを聞く限り、大人になってからは何もないっぽいが、子供の頃に受けた屈辱は50年経った今も覚えているようで、酒飲んで思い出してはやや怒っている。


からか、私が小学校からかわれて泣きながら帰ってきたときも、自分のことのように怒った。その烈火のごとき怒りに泣いていた私は引いた。

温厚で面倒見がよく、合理的で冷静な母が、とてつもない剣幕で怒り始めるから、悲しいとか悔しいとかそういうのが引っ込んで、もういいやって気になった。

母のおかげか時代のおかげかは分からないけど、母が感じたような屈辱に覚えがない。


母は自分の怒りを上手く人に伝えられない。私の所に来たのも、父がちゃんと話を聞いてくれなかったからだと思う。父が名字からかわれなかったのも一因かな。

母の話だけではうまく苦情が書けないと思ったので、母と一緒にその番組の続きを見た。

母が嫌だったところとか番組に何を求めるのかとか、そういうのを聞いている内に母は落ち着いた。苦情はもういいって感じだった。


でも、自分も思う所があったのと、

「何でこんないじめみたいなことをわざわざするの」

自分の子供や孫がこんなこと言われたらどうする」

「作る人間は大したことだと思ってないからできるんだ、こんなこと」

「あの屈辱は受けた人間しかからない」

みたいな感じで怒るのを見ていたら、報いるしかないなと思えてきたのとで、さっき苦情(というか疑問)のメールを無事に送った。


嫌なら見るなってのは分かるので、なるべく責めないように、こちらのバックグラウンド懸念を伝えつつ、どういうスタンスで作っているのかを聞くようなものを書いた。

ご覧のような文才でとても読みづらいとは思うが、慎重には書いたので母が報われるような返信が来るよう祈っている。

  • クレームにやたら大騒ぎで対応するケースと、 定形メール一通でおわりみたいなケースと どういう違いで対応が分かれるんだろう

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