父親が透析の必要な状態となって1〜2ヶ月、医者と揉めて治療に行かなくなってしまった。
母も兄弟も混乱し、再度治療に通ってくれるよういろいろ言ったらしいが父は頑なに聞き入れない。
このまま治療を受けなければ自覚のないまま状況は悪化し、数ヶ月いや1ヵ月のうちにも突然死することもありうるらしい。
そんな状況で兄弟に頼まれ帰郷し、医者に面談した。そして病気の経過と行った治療についての説明をもらった。問題の主治医ではなく同じ課の別の医師。説明はわかりやすく、こちらの質問にもきちんと答えてくれる。主治医とのトラブルについては分からないが、診断も治療方針も妥当なもので、他の医師が担当しても同様の治療となったはずだと言われた。
父にどう説明すべきか、と思いながらいたところ、すぐに母親が雑談ついでにあれこれと話してしまった。その時の父親の反論だったり口調だったりで、何が原因だったかということはおおよそ理解できた。
父は主治医に治療についての質問をしたのだろう、しかしそれに納得できる説明や回答をもらえなかった、そればかりか突き放したひどい態度を取られたということらしかった。「治療に納得できないなら退院してそのまま死ねばいい」そういったことを言われたのだとか。
父親の言葉にも誇張があるかもしれないが、担当の医師は地元ではよくない評価もいくらか聞く医師らしく、対人面で人を選ぶタイプではあるのかもしれない。
治療の判断は間違っていなかったにも関わらず、この医師に対して父は強い不信感を感じ、その医師の指示通りに対応する病院スタッフも拒絶した。
治療に強い不信感があり、満足する説明も得られないと思い、薬も飲まずにこっそり捨てたりをしていたらしい。
そこに体調が回復してきたことで、治療の効果ではなく自己判断での食事制限や薬を摂取しない事が奏功したと誤った確信を得て、無理矢理治療をやめて退院した。その後は透析にも通わなくなってしまった、という感じなのだと思う。
父親ももういい年なので、理解力も落ちている。治療についての説明も1度や2度、口頭で説明されただけでは理解できなかっただろうし、医者をはじめ病院スタッフも父につきっきりで説明するだけの時間もなかっただろう。理論的であることを自負しデータに即した説明を好み、分からない事があれば質問し納得してから物事を進める。そういう生き方をしてきた父には、簡単な説明だけで自身が納得できるまで説明しない病院スタッフの態度は、不親切さ以上に治療自体への不信感まで募らせてしまったのかもしれない。
今回、別の医師と面談し、その際に治療の経過のデータをもらえた。また、父の病状の経過と治療方針、その経過については医師からの説明をもとに自分が紙に書いてまとめた。これで父も理解することができるのでは、理解さえできればまた透析治療を受けるのではと願っている。