私は底辺同人作家をやっている。たかが一度サークル参加したことがあるからといって同人作家を名乗るのはおこがましいだろうが、ここでは同人誌を描く腐女子という意味で同人作家と名乗らせてほしい。
私はとある一つのジャンルで二次創作というものを知り、同人活動を始め、そして現在も同人活動を続けている。今年で3年が経ったところだ。
それだけ長く居座っていれば古参としてそこそこの地位が築けているはずなのではと思うこともある。しかし私が未だに底辺を脱していない理由は単純だ。
1.絵に魅力がない
そこまで分かっていてなぜ3年も底辺のまま活動できるのだろう。
何度も自己嫌悪に陥ったが同人活動をやめようと思ったことはない。
すべては強すぎる承認欲求に起因している。
私は昔から絵を描くのが好きだった。少女漫画を写し絵シートで模写したり、自分でもオリジナルのキャラクターを描いたり。誰に見せるわけでもなく素直に絵を描くことを楽しんでいた。
しかし学生時代、友人間で深夜アニメが流行り出し、アニメのキャラクターを描いては友人同士で見せ合う遊びをするようになってから、自分の絵に対する姿勢が変わっていく。絵を描けば上手いね、可愛いね、と褒められるのが気持ち良い。調子にのった私は自分の絵は人より上手いと思いこんでとにかく絵を描いては友人に見せびらかしまくった。今思えば技術もなければ魅力もない、ひどい絵をよくもまあ堂々と自慢していたものである。シャーペンで描いた迷い線だらけの落書きを親しい友人に見せては上手いねと言わせ、ツイッターに上げてはフォロワーの義理いいねをもらい、完全に絵の上手い人枠を勝ち取った気になっていた。(学生時代一度も絵の上手い人枠で修学旅行のしおりや応援旗の作画を任されたことがないことに気付いたのは最近の話である。)
気づけば絵を描くことは自分の承認欲求を満たす手段でしかなくなっていた。高校を卒業し、予定を合わせなくても毎日友人たちと交流できる期間が終わってしまうと、自らの承認欲求を満たすためにその矛先を向けたのがツイッターだった。ひとたび絵を上げればすぐさま反応が数字で表示され、簡単に承認欲求を満たせる魅力的なツールであり、また多くの絵描きがその泥沼にハマっては絵描きを辞めていく恐ろしいツールでもある。
私もその泥沼にハマった一人だ。
それまでもツイッターはやっていたのだが、あくまで小規模なコミュニティでしか交流しない鍵垢での活動に過ぎなかった。高校卒業を機に私は、推しジャンル専用のアカウントを作った。
1.イラストを上げてフォロー<フォロワーの神絵師になる(当時の神絵師の定義がこれであった)
今思い返して書き並べてみても図々しいにも程がある。私はこの宣言どおり、目をつけた神絵師に積極的に声をかけて存在をアピールし、見切り発車でサークル参加も申し込んだ。
しかし忘れてはいけないのが、ここで私が底辺同人作家であるということだ。
私は多くの人に認知されることに気を取られるあまり、まったく絵の練習をしてこなかったのである。(ちなみにこのとき繋がりたいタグでかき集めたフォロワーがほとんどで、180人ほどだった)
自分の絵はデッサン崩壊し放題、配色めちゃくちゃ、おまけに漫画のネタは小学生の自作漫画以下というとにかく人様に値をつけて売れるようなものではなかった。イベントが近づくにつれて次々と流れてくるサンプルと自らの原稿を見比べては、完成度の低さに絶望し、ここではじめて自分が絵の上手い人ではないことに気付いた。
病みに病んだ私は「自信がないので新刊の値段を格安にします」とツイート。すると当然バッシングの嵐。買い手に失礼だ、自信をもって発行する本がほしかった、などと様々な意見を頂いた。厳しい言葉ながらも私の本がほしかったと言ってくれるフォロワーがいることが嬉しくて、申し訳なくて、このときは本当に反省した。
なんとか無事イベントは終了し、稚拙な新刊は20部ほど売れた。大手ジャンルの力ではあるが、購入してくれた優しい方々には頭が上がらない。
病みに病みまくったアカウントを墓に葬るため、イベント後、すぐに私はアカウント移行した。
しかしこれがさらなるクソ病み女を生み出す原因だったのである。
移行後のアカウントで繋がりたいタグをするも、面白いほど伸びない。フォロワーも増えなければ絵も伸びない。どうせ絵が下手。嘆くだけで絵の練習はしない。耐えきれなくなった承認欲求が病みツイートを生み出し、少ないフォロワーがさらに減っていく。さらにこのアカウントで相互とトラブルを起こし、ちょっとした騒ぎを起こした後にアカウントを消す羽目になる。災厄がついていたとしか思えない1ヶ月だった。
病みツイートはせず、推しの妄想とイラストだけを上げるアカウント。これが大変居心地が良い。まず病みツイートがないというだけで相互にブロ解されることがなくなった。またフォロワーに影響されてクロッキー練習をするようになり、いくぶんかイラストが上手くなった。初めて自信作に100いいねがつき、微差だがフォロー数をフォロワー数が超えた。今度こそ絵がうまくなった気がする。
順風満帆とも思えるツイッターライフであったが、ここで承認欲求の鬼がまた顔を出すのである。
ある時一人の相互が自身の絵のpixivまとめをツイートした。最近自分の界隈にやってきた絵師で自カプが同じということでわりと仲良くしていた人。かなり好みの絵を描く人だけどまだまだフォロワーは多くない方。だから舐めていた。
なにげなくその人の過去ジャンルのイラストまとめを開いてみる。1500を超えるブクマ数が。次も、次の作品も。
完全に嫉妬だった。私なんてよくて20ブクマ。こんな神絵師が私みたいな底辺絵師とつるんでたんだ。私の絵を褒めるときどんな気持ちだったんだろう。お世辞?呆れ?ネガティブな妄想ばかりに囚われる。それが2人続いた。
メンタルが壊れた。
はじめてもう絵を描きたくないと思った。
5秒後
またしても承認欲求によって私は絵を描き続けることになるのであった。正直今のジャンルに居座り続けて飽きてきた。けど次行くジャンルもない。絵を描くのをやめたら何が楽しくて生きていくんだろう。私にはつらくても絵を描いて生きていくしかないのかと、そう考えることしかできない自分が憎い。
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論理の飛躍が感じられない、やり直し。