そうふと思ったのは、今の彼女と付き合って一月ほど経ってからだった。
俺は仕事が終わって、夕暮れの通りをひたすらに歩いていた。
俺が彼女の、どこを好きにになったんだろうか。そんなことを考えながら。
もちろん相手の優しいところ、そして悪くない外見、色々良い所をあげればきりがないのだが、たぶんそれをすべて足し合わせても、決定打となるには足らなかった。
ネットアプリを通じて出会った彼女は、最初から俺にとってピンとくる相手ではなかった。
中だるみして、連絡をとらない期間もあった。
なのに、ある時から狂ったように気になりだすようになった。
たぶん、それは俺がどん底にいたとき、彼女がふとした優しさを見せてくれたからだ。
彼女は俺との関係を親指のタップ一つで切ることはできたし、どん底にはそれをするくらいの理由があった。
けど、彼女は結局俺のそばに居続けた。そして、俺は彼女を好きになった。
相手を好きになる決定打は相手の外面でも、まして内面ですらない。
自分と彼女、そして二人が置かれた状況の相互作用、それらのエピソードが俺を彼女を好きになる気持ちへと駆り立てた。
つまり、何が言いたいのかと言うと、一番大事なのは「タイミング」ということだ。
我々は、恋について考えるとき常に時系列を意識して考えたほうがいいだろう。
優しさだって、常に与えれば自分が相手にとってただの都合がいい奴になってしまう。
一方で自分が激怒した後に優しくすること、逆に相手が寂しくて優しさを欲しているときは優しさは効果的だ。
見極めて、行動することが恋愛には大事ということだ。それが自分の性格の印象を、いい方向にも悪い方向にも転がす。
そうゆうことだ。