本日は私たちの結婚式のために皆様お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
当初は花婿くんの「親孝行がしたい」という決意に私が折れた形で決まった挙式ですが、このように家族以外の皆様にまでお祝いしていただき、恐悦至極でございます。
この人生、目立って良かったことなど一度もありません。ゆえに、自らが主役としてゲストをもてなさなければならない結婚式など、卑小な人間たる私に務まるか非常に不安でした。無事に食事会まで終えることができ、いま心のなかで盛大な安堵のため息をついているところでございます。
(中略)
さて、最後になりましたが、婚家の両親への決意表明を致しまして終わりの言葉に返させていただきたく存じます。
お義母さん、結婚式でお色直しを計画したら「和室での食事会なのに洋装は合うの?」「お色直しで中座されたら場が持たなくて辛い」と言われましたよね。そこで、お色直しを取りやめたら「本当にドレスを着なくていいの?あなたのお母様と『みたかったわねぇ』って話していたのよ」と仰ってくださったこと、ずっとずっと忘れません。
お義父さん、いつぞやに量販店の紳士服売り場のセールスマンに言われたという「両家の両親の服装を和洋で揃えるべき」というどこの界隈で謳われた知識かも定かではない情報を常識と履き違えて、あまつさえ「こちらが洋装なのに和装を準備するなんて非常識だ!失礼だ!侮辱してる!」とご立腹なさったこと、わたしキッチリ聞いて覚えておりますよ。
おふたりとも、連絡を取れば、この時勢を騒がせている殺伐とした話ばかりされますよね。そのとき、少しでも和ませようとなけなしのセンスで残した言葉遊びをお義父さんが「幼稚園児レベル」とくさしたこと、バッチリ証拠に残しております。