2020-04-09

コロナ日記#1(2020/0409)

ちょっと咳っぽい。2日くらい前から、鎖骨の下あたりがもやもやと炎症を起こしているような感じだ。耳の下のリンパ腺を押してやるとちょっと痛い。食欲も少しだけ落ちたような気がする。ただ、熱はない。

半年前の世界なら、まあ単なる「風邪」ですね。これぐらいの症状じゃ休む理由にもならない。ところが、いまのこの世の中では、背筋にひやりとしたものが走る。いまいちばんヤバいアイツに罹るということがもたらすのは、肉体的なダメージ、それもさることながら社会的ダメージもかなり大きいからだ。

今朝、アパート(半分シェアハウスみたいな)のグループメッセージに、近所の交番コロナ感染者が出た、と来た。消毒をしていると。怖いですねー、こんな近くまでもう来てるんですね、と別なメンバー。怖い、確かに怖いのだが、自分感染したひとのその身に置き換えると、さらに怖い。プライバシーへったくれもない。これがパンデミック下の世界なのか。

(まるで某ロード歌詞のようだが)ちょうど3年前のいま頃、当時暮らしていた広島から横浜に引っ越すにあたって準備を進めていた。そのまっただ中に風邪を引いてしまった。発熱、止まらない咳、食欲減退(食欲魔神わたしとしては、これがいちばん辛かった)。

普段は近くのドラッグストア風邪薬を買ってきて、安静にしとくくらいのことで終わりにしてしまうけど、なにしろ日程は決まっていて、悠長なことも言ってられない。やむなし、内科に行った。およそ3年ぶりくらいの来院だった。

センセが言うには、インフルエンザも陰性、単なる風邪、お薬出すから安静にしときなさい。まあ、安静になんてできないけど。何しろ旅立ちはもう4日後に迫っていた。いわゆる汚部屋状態リカバーだったから、とにかくやることが多いのだ。

盛大に咳き込みながら引越し作業を進めた。その一方で、親しくしてくれた友人たちと飲みにも言った。美味しそうなものが並んでいるのに、食欲が全くわかず、酒ばっかり飲んでいた。締めにラーメン屋へ半ば強引に連れてかれたけれど、ひと口ふた口すすったくらいで吐きそうになってしまい、しょうがなし、残りを食べてもらった(これもいまの世の中ではNGですね)。いつもなら白飯追加で注文していただろうに。食べられないということがこれほどまでに辛いと感じたこともない。

当日になって、ようやく「むさし」のおにぎり新幹線で頬張れる程度には回復したものの、咳は止まず、その後、新居に荷物を入れて、イケアやらヨドバシやら回って買い換えるものを買い替えて、そして1週間後、新しい職場で働き始めてからも、まだ続いていた。結局、完治といえる状態になったのは、発症から2〜3週間くらい経ってからだった。

別にインフルエンザでなくとも、タチの悪い風邪というものは、これくらいタチが悪い。正直、いまをときめく、新型のアイツの症状も、大部分の人間においてはこんなものか、もっと軽いだろう。肉体的なダメージで比べたら。

ただ少なくとも、このパンデミック下における世界とは、緊張感が全く違った。インフルエンザでもないなら、こちらの免疫力問題で、人にうつして悪くなることもなかろう、とマスクすらしてなかった。

ちょっとぐらい体調が悪くても、気にも留めない。そんな牧歌的世界が、いまは懐かしい。

いまは、ただピリピリしている。体調が少し崩れるごとに。お腹が空かないなんて、むしろダイエットのいいチャンスぐらいに考えていたのに。

このウィルス特性上、ウィルスを持っている人を遠ざけるしかいから、人びとは防御的に動かざるを得ないのだろう。それが時として、過剰にヒステリックに見えて、怖くも思える。

いまや、咳が出るくらいの症状を「風邪ですね、お大事に」と流すことはできない(例え本当にただの風邪だったとしても)。そして、ただただ肝を冷やすばかりだ。世間の矢面に出ないように。

うまくは言えない。そのうち、書き直そうと思うけれど、取り急ぎ、記憶素描として。

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