常に笑顔で愛嬌があって、聞き上手で、お酒を飲んだときは少し距離が近くなる。
「いつでもなんでも話聞くよ」という言葉が嬉しくて、いつの間にか心を預けていた。
好きになってしまった人は、誰にでも優しい人だった。
「いつでもなんでも話聞くよ」なんて、誰にでもは言えない。わりと仲良い人じゃないと言えないし、ましてや実践なんてもっとできない。だからそれを本当にしてくれる人がいたら、この人にとって自分は特別なのかな?と感じてしまうのは理解してもらえる感情だと思う。
でも、誰にでも優しい人は、それを普通よりもたくさんの人にできる才能を持っている。
てっきり自分が特別だから優しくしてくれていたと思ってたのに、同じことを他の人にもしている。あの優しさは自分だけに向けられたものじゃない。それに気づいた瞬間に嫉妬してしまう。苦しいし、不安になる。誰にでも優しいから、他のみんなにも同じように好かれてしまう。本当は自分だけのものであってほしいのに。
感情の重さが非対称になって、辛い思いをする。
ドルオタをやっていたので、アイドルへのガチ恋と少し似ていると思った。
自分が贈った気持ちを笑顔で受け取って喜んでくれる、だけれども決して特別にはなってくれない存在。ステージでたくさんの人に愛される人が、もしも自分だけに笑顔をくれたら。そんな夢を見るくせに、ステージを降りてファンと繋がるアイドルであってほしくないとも思う。アイドルの特別になりたいけれど、もしもアイドルが特別を作ってしまったら、それは自分が憧れた幻想を壊すことに等しい。
でも、誰にでも優しい人はアイドルじゃないから、幸せになる道もゼロじゃない。
ゼロじゃないけど、その優しさが自分だけに向けられたものではないところは同じだ。
誰にでも優しい人。
付き合った相手にいつも泣かれるのだと困ったように言っていたけれど、その人たちの気持ちが今はわかる。
なんで好きになっちゃったかなー。