昨年からYouTubeに良質のミステリーが転がっているので、ぜひおススメしたい。
それは、桜を見る会の野党合同ヒアリング動画である。はじめこそ、野党のヌルい進行や追及に、軽いイラつきを覚えるかもしれないが、そこはどうにか慣れてほしい。
面白いのは、官僚の答弁である。ありとあらゆる日本語を駆使して、嘘ではないが事実でもないことを口にして、秘密や真実を隠し通そうとするその様は、まるでミステリー作家が、様々なトリックを以って読者を騙そうとしているのに似ている。
直近のヒアリングでは、「首相事務所が推薦した人物でも招待を断ったケースがある」ことを理由に「首相による推薦者の私物化」を否定しようとしている。しかし、私の見立てはこうだ。
この「招待を断ったケース」、というのは、他省庁の推薦などと重複していたために、首相側の推薦を断った、ということではないだろうかと私は推理する。あるいは、推薦者が作業中に逝去してしまったとか。
野党ヒアリングは一事が万事この調子で、優秀な官僚のみなさんが、まるでミステリー小説の容疑者かのように、どうアリバイを取り繕い、言葉巧みに読者を欺こうとしているのか、非常にエキサイティングに楽しめる。
少し前にはてブでも話題になったが、事実と主観を区別できないしゃべり方を意図的にしてくる、優秀な官僚のみなさん。特に、酒田課長という、この物語でキーとなる登場人物が、私のお気に入りの登場人物である。
酒田課長は、「名簿廃棄操作のログ」について「ログの内容を公開することはセキュリティ上の懸念がある」ことを理由に、ログ調査を頑なに拒んでいる。
野党が「ログを公開するのでなく、ログを内部で確認して、その日時についてのみ報告せよ」と詰めても、一部や全部にかかわらず、ログに関することを公にするのはセキュリティ上の懸念があるとの一点張り。
私は思う。こう詰めてみてはどうかと。「報告は不要。内部で確認するだけでよい」と。そうすれば、ログについて公開される情報はない一方で、ログを確認した官僚はその情報が従前の答弁と異なっていれば、何らかの対応をとる必要があるわけなので。
屁理屈をこれだけこねてくる官僚に対しては、そのロジックを一部受け入れる一方で、同じロジックで相手を責めるのが良いと思う。